新型コロナウイルスによって最も大きな影響を受けている部門の1つが、宿泊業です。とくに零細企業が大きな打撃を受けており、人員を3分の1程度にまで削減しても、なおかつ、1企業の月当たり赤字が264万円という窮状です。
宿泊業でも大企業は、赤字ではあるものの、人員削減率は7%程度です。GoToトラベルは、大企業には支援になった可能性があります。
今後の支援策を考えるには、こうした事情を勘案する必要があります。
今後も支援が必要、現状の正確な把握を
コロナの感染が収束せず、2回目の緊急事態宣言下で、飲食業等に対する時短要請がなされています。今後も支援策が継続して必要になる可能性があります。
ところで、前回の記事(「コロナで仕事失う人と何ともない人に映る格差」2020年1月10日配信)述べたように、経済収縮の影響は、業種や企業規模によって大きな違いがあります。
対策を行うのであれば、その状況を的確に把握したうえで行う必要があります。
そうでないと、必要なところに支援が届かず、必要のないところに過剰な支援がなされる危険があります。
現在の状況については、法人企業統計調査の業種別、企業規模別の数字によって、かなり詳しいことがわかります。
それによると、コロナによって最も大きな影響を受けているのは、業種別で見ると、宿泊業、飲食サービス業、生活サービス業、娯楽業です。しかも、その中で規模が小さい企業です。
以下ではこれらのうち、宿泊業の状況がどうなっているかを見ることとします。
2020年7~9月期において、宿泊業における、資本金1000万円以上2000万円未満の企業(以下「零細企業」と呼びます)数は、4949です。2019年7~9月期には5064だったので、80ほどの企業が消滅したことになります(以下では、とくに断らない限り、2020年と2019年の7~9月期との比較を行うこととします)。
減少率でいうと、2.3%です。なお、この数字は、経済全体の企業数減少率(2.4%)とあまり変わりません。
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