減少が顕著なのは、人員数です。
2020年7~9月期において、この分野には、10.0万人の人が働いています。2019年は28.0万人だったので、18万人ほど減ったことになります。
率でいうと、66.2%です。つまり、前年の約3分の1になってしまったことになります。全産業における人員減少率が2.9%であるのと比較すると、極めて高い減少率です。
宿泊業全体での人員の減少は19.4万人ですから、そのほとんどが、零細企業で生じていることになります。
この期間において、全産業の人員減少数は102.7万人です。その実に2割近くが、この部門で生じているのです。
1企業あたりでいうと、昨年は55.3人だったのが、今年は20.1人になったのです。大変大きな変化です。この部門がいかに大きな打撃を受けているかがわかります。
零細宿泊業では、月当たり赤字が約264万円
人員がこのように大きく減少したのは、売上高が激減したからです。
宿泊業零細企業の1企業あたり売上高を見ると、2019年7~9月期の1億6454万円から、2020年7~9月期には3423万円へと79.7%減少しました。つまり、約5分の1になってしまったのです。月あたりでいえば、5485万円から1141万円に減少したことになります。
人件費は、2019年7~9月期には売上高の約27%と、かなり高い比率を占めていました。しかも、ほかの経費には固定費的なものが多く、簡単には切れません。このため、人件費が経費削減のターゲットとなったのです。
ただし、賃金を一律に減らすのではなく、人員を減らしました。削減が比較的容易な非正規従業員が対象になったのだと思われます。
それにもかかわらず、営業利益は激減しました。
2019年の7~9月期には1企業あたり419万円の利益があったのですが、それが2020年には791万円の赤字になりました。
これは、月当たりでは264万円の赤字です。
持続化給付金では、とてもカバーしきれません。
放置すれば、早晩破綻してしまうでしょう。零細法人企業は個人事業とほとんど同じようなものなので、このような状況は、事業主とその家族の生活に大きな影響を与えているはずです。
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