2020年7~9月期において、零細企業は、売上高では全法人企業の12.0%であり、営業利益では2.3%を占めるにすぎない。
ところが、企業数は63.5万社ある(図表1)。これは、全法人企業数94.4万社の約3分の2にもなる。
(外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
そして、人員(役員数+従業員数)は880万人で、全体の25.2%を占める。
つまり、零細企業は、非常に多数の人員を抱える、生産性が低い部門なのだ。営業利益の落ち込みが激しいのは、生産性が低いためだ。
具体的なイメージを掴むために1企業あたりでみると、役員数は2.1人だ。おそらく、世帯主と配偶者など、同一世帯の人たちであろう。
従業員数は、11.7人だ。1企業あたりの人員(役員数+従業員数)は13.8人となる計算だ。これからみると、1企業あたりの事業所(店舗)数は、1カ所、多くても2カ所程度であろうと推測される。
2020年7~9月期における1企業1カ月あたりでみると、売上高は1944万円、営業利益は、10.3万円だ。
零細企業は30社に1社が消滅。人員が64万人減
零細企業はコロナ不況によってどのような影響を受けたろうか?
まず企業数を見よう。2019年7~9月期には65.5万社だったので、1.9万社(2.9%)の減少だ。約30社に1社が消滅したというのは、かなり高い比率と言える。
法人全体での減少数が2.2万社なので、そのほとんどが零細企業で生じたことになる(零細企業以外の企業の減少数は約3000であり、減少率は1.1%となる)。
企業数減少がいかなる原因で起きたかは統計では示されていないが、経済活動縮小による売上減と利益減によって、廃業を余儀なくされたり、倒産したりした場合が多いと推察される。
この部門の人員数は、64万人減少した(6.8%の減少率)。
内訳を見ると、役員が135万人から134万人へと1万人の減少、従業員が809万人から746万人へと63万人の減少だ(7.8%の減少率)。
法人部門全体での人員減は103万人だが、実にこの62.1%が零細企業で起きたことになる。
したがって、コロナによる雇用問題を考えるには、この分野がどうなっているかの分析が欠かせない。
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