「図で考えるとき」に「パワポ」がNGな根本理由 思考を活性化させるのに「いい道具・悪い道具」

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なぜイメージしやすいのか。それは紙が「2次元」だからです。

人は多くのインプットを2次元の画面から得て、頭で処理します。テレビ、雑誌、手帳、スマホ、看板、チラシ……すべて2次元。おそらく皆さんが、何か考える際に頭の中に描くのも2次元のイメージではないでしょうか。3次元で自由自在に考えられる人はそうそういないと思います(3次元で考えていると思う人も、ほとんどが3次元の2次元投影イメージのはず?)。

必要なモノは紙とペンだけ

うれしいことに、このような「図で考える力」を鍛えるのは決して難しくありません。

なぜなら、図で考えるために必要なものは、紙1枚とペン1本だけ。誰でもすぐにでも始められるからです。高い授業料もいらないし、お金もまったくかかりません。

絵心も不要です。なぜなら大まかな「ポンチ絵」でいいからです。逆に絵心がないほうがベターかもしれません。なぜならポンチ絵に細部は必要ないからです。

「図で考える」ための準備は、本当に紙1枚とペン1本だけ。ほかには何も必要なし。

ただ、少しだけ紙とペンにこだわると、使う紙は、薄いマス目の入った方眼紙がベターです。タテの線でも、ヨコの線でも、定規なしでキレイに引けるからです。ペンも黒のペンにプラスして、赤とか青のペンがあるといいでしょう。強調したいところや論理の違いなどを、色を使って表現でき、パッと見、図がわかりやすくなります。

また、図で考える際には、何度も書いたり消したりするので、ホワイト(修正テープ)はあると便利です(鉛筆の場合は消しゴム)。

基本、紙とペンさえあればできることなのですが、「それならパワーポイントでもいいんじゃないか?」という声が聞こえてきそうです。でも、お勧めはやはり紙とペンです。

実はパワーポイントには思考の流れを阻害する要因が潜んでいるんです。

パワポは、意識するしないにかかわらず、資料を完成させるための「作業」に焦点があたってしまいます。パワポ資料作りのためのパワポ作業になってしまう。あるいは、作ったパワポに縛られて思考が先に進まなくなってしまうことも間々あります。そうやって思考停止に陥っている人をこれまでたくさん見てきました。

本来、図を描く作業は、手で考える作業であり、自分自身との対話です。そして、考えを深め、整理するプロセスです。目の前の紙から意識がそれるのはダメで、図と思考をシームレスに、かつ瞬時に切り替えられる利便性があるべきです。

しかしながらパワポの場合、画面の上のさまざまなコマンドボタンと図の往復作業で思考が寸断され、図形やフォントの選択で迷い、思考が途切れがちになります。そして、資料を作ることについつい意識がいってしまう……。

結果的に、「考えること」と「作業すること」の逆転現象が起こり、本末転倒が生まれてしまうのです。

次ページ紙とペンを超える「図考」アイテム
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