名古屋発「フルーツ大福弁才天」驚きの誕生秘話 東京や大阪にも出店、2021年に50店舗の見通し

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「具体的な話になりますが、加盟金や研修費などの権利金だけで1000万円以上かかります。さらに店舗の設計や建設なども含めると総額2500万円くらいの投資が必要になります。資金だけではなく、みっちりと2カ月間、研修という形でスタッフと同じ仕事をしてもらいます。そこで認められなければのれん分けはできません。実際、70件くらい応募があって、のれん分けしたのは、わずか10件でした」

現在、直営店10店舗、のれん分け店20店舗を展開している。フルーツ大福は常時12種類を用意していて、フルーツの種類によって価格が異なる。いちばん安いもので1個430円。高いものになると1個1500円。とくに新型コロナの影響もあって、家で過ごす機会が増えたことから、売り上げも右肩上がりに伸びていった。

パリジェンヌをフルーツ大福でうならせたい

のれん分け店は東京や大阪、岡山、福岡にもあり、今年は50店舗になる見通しだという。が、全国展開を目的にしているわけではないし、売り上げの目標を決めているわけでもない。「弁才天」のフルーツ大福が食べたいという人がいる限り、それを届けたいという思いがすべてであり、全国展開は手段にすぎない。

「すでに香港や台湾、シンガポールからのれん分けの話をいただいていますが、ゆくゆくはパリやミラノ、ニューヨークなど世界のカルチャーの発信地で勝負したいという気持ちはあります。シャンゼリゼ通りでパリジェンヌがフルーツ大福を食べていたらと考えただけでワクワクします。ラーメンや寿司が世界中で食べられているにもかかわらず、和菓子が今ひとつなのは、豆を炊いたあんこを押し付けようとしているからではないでしょうか? フルーツを食べる習慣がある海外では、薄皮薄あんのフルーツ大福なら勝算があると思います」

新型コロナの影響もあり、海外進出はまったくメドが立っていない。しかし、大野さんのバイタリティーをもってすれば、海外でフルーツ大福が日本のカルチャーとして迎えられる日はそんなに遠くはないだろう。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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