安倍首相は集団的自衛権の憲法解釈変更に向かって突っ走る。一方、野党陣営では離合集散が続く。これがこの半年の政治の潮流であった。
みんなの党や日本維新の会は集団的自衛権問題で首相と歩調を合わせているが、野党側の離合集散はそれが主因ではない。与党と野党の二つの動きは別々の事情のように見えるが、裏で連動しているのかどうか。
首相にとって、集団的自衛権問題では、連立与党の公明党が大きな壁だ。自民党は参議院で単独過半数に7議席足りず、憲法解釈変更後の関連法案整備で公明党(20議席)の協力を必要とした。
一方、野党陣営では、2013年12月にみんなの党が分裂し、江田グループが結いの党を旗揚げした。参議院でみんなの党は18人から12人に減ったが、野党再編組が抜けたのを見て、安倍首相は「みんなの党は友党」と意を強くした可能性がある。
ところが、今年2月12日、安倍首相は国会答弁で、憲法解釈変更問題について「最高責任者は私」と高姿勢を示した。反発は大きく、公明党も硬化した。さらに3月下旬、みんなの党の渡辺代表が8億円借り入れ問題で失脚した。他方、1月から政策協議を始めた維新の会と結いの党は4月、参議院で統一会派を結成し(議員数14人)、野党色を強めた。
今国会での閣議決定はできるのか
首相は5月7日、憲法解釈変更の閣議決定について、外遊先で「期限ありきではない。与党で議論を」と述べ、与党協議優先に方針を転換した。ところが、5月29日、維新の会が分裂する。6月5日、分党後の新勢力が判明したが、石原グループに衆参23人が参加した(参議院議員は3人)。それを見て、翌6日、安倍首相は対公明党で強硬路線に転じ、22日に閉幕の今国会での閣議決定を指示した。だが、6月19日の時点で、帰趨は不明である。
安倍首相は野党の流動化をにらんで、「連立組み替え」カードをちらつかせながら、公明党を追い詰める魂胆なのだろうか。野党側は2015年4月の統一地方選、2016年夏の参院選を見据えて再編劇を開演させる計画のようだが、もしかすると、安倍首相側は密かに「今秋の解散・総選挙」という先手必勝のサプライズ作戦を練り始めているのかもしれない。
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