ホステスは、男の話を一生懸命聞いてあげれば、札束というお返しがくるからやってあげてるけど、私たちは何のお返しも来ないのだから、やってやる必要なんてないんだけど。
話を元に戻します。確かに、「女女格差(女同士の格差)」は拡大しています。先に、女の働き方は死ぬほど働かされる総合職か使い捨ての非正規雇用しかないと言いました。その収入や待遇の差は歴然です。
でも、「女女格差」って、それだけじゃないのよ。女の価値を測る尺度は、男の場合より、多元的なんだよね。
「女女格差」はなぜ広がるのか?
ひとつは就活で差がつく。会社の格、収入、あるいは身分とか出世とかね。これは男と同じ。もうひとつは、結婚したか、していないか。また、結婚した同士でもゲットした男で差がつく。それだけでなく、子どもを産んだか産まないかでも差がつく。今度は、子どもの出来で差がつく。格差が多元的なの。
さっき、「育休フリーライダー」って言葉が出てきたわよね。それが話題になるほど、子どもを産んだ女性が会社に復帰するケースは増えました。するとね、「おひとりさま」の女は、育休だの時短だのを取っている女を見ると、「あんな働きの悪い女が……」とか、やっかみが出てくる。同じ女なだけに、「私でも彼女のようにできたはずなのに」という思いが出てくるのよね。
こうして、女同士の間で、ますます分断が進んでいく。そして、細分化した女たちはお互い手を取りあうことができない。女同士ってお互い相手の顔色を見ながら、自分の振る舞い方を監視したり、監視されたり、抜け駆けしたり……とイヤな相手なの。つまりは、ライバルなんだよね。
そう考えると、男のほうが扱いやすくて、一緒にいてどれだけラクか。私も、長い間そう思っていました。実際、若いうちはそれですんだ。
でもね、そのうち自分たちの中で岐路になる出来事が起きるの。たとえば、妊娠や出産、あるいは病気や老いなどね。いろんな問題が出てくる。すると、男には言っても言っても、どうしても伝わらないことが出てくるの。どうしてこの気持ちがわかってもらえないんだろうということが、女性にはあるんです。
私の研究室は、別名「保健室」と言われていて、こんな女子学生が私のところに訪ねて来たことがありました。付き合っている年上の恋人が避妊してくれない、と。誰かに打ち明けたい、切羽詰まったつらい思いを抱えていたのね。そのとき、私はこう思いました。あなた、言う相手間違えてない? なんで、その話を彼氏にしないのかって。
でも、彼を失うのが怖くて言えないのよ。だったら、教師に言いに来る前に、なぜ同じ世代の女の子の間でそういう話ができないのだろうと。毎月毎月、パンツ降ろしては、生理が着ているかどうか、ハラハラどきどきする。こういう気持ちって、男には絶対にわからない。
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