いずれにしても、バックラッシュは男を見分ける簡単なリトマス試験紙になるので、ハズレ男は相手にしなければいい。問題は、バックラッシュする女よね。それって、どういう人なのですか?
A:一言で言うと、自分に自信がある人ですね。自分はちゃんとやっている。だから、ちゃんとやっていないのに、権利だけを求める女性が、同性として許せないって言う感じだと思います。
上野:それは、妄想系じゃなくて未熟系ですね。
学校というのは、タテマエ平等な社会ですから、差別を受けた経験がないのでしょう。偏差値競争に男女の差はありませんから、女性でも成績さえよければ、いわゆる「いい大学」に行ける。
でも、社会は学校と同じように平等かと言えばそうではありません。彼女には悪いけど、就活が始まったらほえ面かくなと言いたいですね(笑)。
だいたい、東大女子のようなお勉強のできる子たちは、能力主義に偏りがちです。そして、自分の能力は社会で正当に認められるものだと勘違いしている。
でも、データを見れば、そう思ってきた女たちが、その後、社会でどんな処遇を受けているかがわかりますよ。女子より出来の悪い男に内定が決まるのに、女子はなかなか決まらず、不況になればなるほど内定率のジェンダーギャップは拡大することは、否も応もない事実なのでね。学校にいる間はいいよね、アナタ脳天気で、と言ってやればいいんです。
「能力の主義」の女ほど、行き詰る
たまたまラッキーにも就活競争を勝ち抜き、名門企業に入った能力主義の女の、その後の話というのもあります。銘柄企業に入った総合職女性のその後のつまずきは?というと、妊娠と出産です。結婚なんて、目じゃないです。今どきの結婚なんて、男女の合宿生活みたいなものですから。結婚で、男は自分の人生を変えません。でも、妊娠と出産は女の人生をガラリと変えます。
出産は、女を弱者にします。もっと別の言い方をすると、女を身体障害者にします。女はベビーバギーを押した瞬間に、身障者になります。それは、「ベビーカー論争」や、企業の育休復帰者のその後の処遇を見ていればわかるでしょう。育児休業を取得して復帰した女は、戦力外通知を受けて二流の労働者になります。マミートラックにはまるのです。
私の学生だった新聞記者の女性が、総合職女子のその後について研究していますので、ちょっとお話して下さる?
新聞記者Bさん:私は今、総合職女性の出産後の経路を論文にしております。結論から言いますと、上野さんがおっしゃったように、能力主義を信じて「自分なら大丈夫」と思っている人たちのほうが、結果として辞めやすいという調査があります。
反対に、フリーライダーではありませんが、自分たちが当初あった意欲を出産後、うまく引き下げて仕事を継続している人たちのほうが、継続率は高いというデータがあります。
上野:つまりね、「能力主義の女」ほど離職率が高いの!
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