なぜかって、育児は能力主義が通用しないからね。子どもに手をかけただけ、頑張っただけ、見返りがあるわけではない。彼女たちが、最初に挫折を味わうのが育児なのよ。
だいたいね、育休を取得した女性たちを「育休フリーライダー」扱いする人がいるけど、本当のフリーライダーは誰なんだって。妻に子育てを丸投げしているオヤジたちのほうが、よっぽどフリーライダーでしょ。
(会場、激しく、頷く)
上野:ところで、皆さん、昨年、杉並区で保活に失敗したお母さんたちが区に対して「行政不服審査請求」を起こしたことをご存じですか?「待機児童」が解消せずに子どもを預けられなかった杉並区のお母さんたちが、自分たちは本来、子どもを保育園に預ける権利があるのに、その権利を侵されたと申し立てたのね。
ところが、このことについて30代の杉並区議の男が、ブログにバカなことを書いたの。
「『子育ては本来は家庭で行うもの』という基本中の基本を忘れるべきではないと痛感する」だとか、「『お願いです。私たちの子育てをどうか手伝って下さい』、これが待機親に求められる人としてのマナー、エチケットというものではなかろうか」だとかね。揚げ句の果てには「最初から子育てを社会に押し付けるな、大人の都合に子供を巻き込むな」とまで言った。
結果、どうなったか?
もちろん、ブログは大炎上よ。何を考えているんだ、オマエは?と。子育てを女におんぶにだっこしてきたのはどこのどいつなんだよ、と。
つまり、世の中の働く女性をめぐるデフォルトは、これだけ変わったのよ。これまで、保育園に子どもを入れることは、「預かってもらう」という恩恵だった。でも、それは恩恵ではなくて権利だと常識が180度変わった大事件でした。
そう考えると、あなたの周囲のバックラッシャーたちは、ものすごく時代錯誤なおニイさん、おネエさんたちね。先が思いやられるわ。
A:そうですね。思いやられますね。
上野:データを見れば女がどれだけワリを食っているかはすぐに証明できます。ああ言えばこういうスキルを身に付けるのも、社会に出ると大事ですからね。エビデンスを示して、言い返してみてください。
A:わかりました。ありがとうございます。
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