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クリーマが貫いた「数字だけで評価しない」価値 なぜベンチャーが「大手資本」に勝てたのか

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それにしても、クリエイター1人当たりの平均売り上げ規模が4倍も違うということは、よく似たマーケットのようでありつつも、実際には異なるマーケットとして考えねばならない。

ここでのテーマは、クリエイター1人当たりの売り上げを押し上げる主因のプロやセミプロのクリエイターがなぜ集まるのか――。丸林社長に取材すると、その違いが見えてきた。

ハンドメイド商品のマーケットプレイスを開いた多くのライバルが、より多くの出品者を集めるため、間口を広げ、多くの広告を打ち、誰もが参入しやすい環境を作ることに力を入れたのに対し、Creemaはまず、自分たち自身が“掲載してほしい“と感じるクリエイターを日本中で探しては訪ね歩き、出品を承諾してもらうところから始めた。

ライバルが全国区で有名な女性モデルをキャラクターに大規模な広告キャンペーンを張り、登録クリエイター数を大幅に伸ばしていたが、丸林社長には確たる自信があった。

“クリエイター”と呼ばれる作家たちが、積極的に出品したくなるマーケットプレイスに仕上げられるのは自分たちだけだと確信していたからだ。

「アマチュアばかりが集まるコミュニティに、プロあるいはプロを志向するクリエイターに参加を呼びかけて、では作品を展示しようと考えるでしょうか」(丸林氏)

アマチュアの創作能力を過小評価しているわけではない。実力のあるアマチュアを含め、どんなコミュニティにクリエイターは参加したいと思うのか。そこに確信があったのは、丸林社長自身がクリエイティブで生計を立てることを望んでいたからだ。

「クリエイターが集まるコミュニティ」とは?

「ハンドメイド商品のECサイトを始めようとは考えていなかった。作りたかったのは、クリエイターと消費者をつなぐサービス」(丸林氏)

丸林氏は大学在学中、ミュージシャンを志して活動していた。加えて画家を志す、才能ある人物も身近にいたという。

【2021年1月25日18時00分追記】初出時、 一部事実関係に不正確な記述がありましたので、上記のように修正しました。

しかし、クリエイターを取り巻く環境は必ずしもフェアなものではない。丸林氏は「私自身は22歳の頃、ミュージシャンとしてそれなりに仕事を得ていたが、私より遥かに才能があると認める人が日々の仕事を得られない、そんな様子をずっと見ていた。一方で、音楽的なセンスや努力が感じられないのにルックスのよさや業界内での根回しのよさで仕事を多く得ている人もいた」と振り返る。

その一方、画家を志していた知人は、学生時代から個展を開くなど一部から注目されていたにもかかわらず、画家一本の才能だけで食べていけるほど人生は甘いわけではないとさまざまな周囲の大人から説得され、画家としての道を諦めようとしていた。

次ページが続きます:
【その後、ミュージシャンの道を諦め…】

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