楽天「転職元の機密流出で社員逮捕」仰天の弁明

真っ向からぶつかるソフトバンクと楽天の主張

1月12日、ソフトバンクは、元社員が持ち出した営業秘密が楽天モバイルの事業で利用されないよう、営業秘密の利用停止と廃棄などを目的とした民事訴訟を提起する予定だと発表した。写真は都内で2017年撮影(写真:ロイター/Kim Kyung-Hoon)

なんともお粗末な、産業スパイが疑われる事件が発覚した。

2019年12月31日までソフトバンクに在籍していたエンジニアが、最新の5Gネットワークに関する営業秘密を不正に持ち出し、翌日の2020年1月1日には競合の楽天モバイルに転職していたという事件だ。

ソフトバンクは情報の不正持ち出しを2020年2月に察知し、警視庁に相談。警視庁は1年近い捜査を経て、2021年1月12日に合場邦章容疑者を不正競争防止法違反の容疑で逮捕した。

執筆時点では、合場容疑者がどのような意図で流出した情報を使おうとしていた(使った)のか、詳しい動機や使途についてはわかっていない。

なお、この逮捕に際し、ソフトバンク、楽天モバイルの両社は、現時点で両社が把握している情報や見解をニュースリリースで発表しているが、その主張は正反対のものだ。

ソフトバンクは5Gを含む回線インフラ構築に関する技術情報が持ち出されたと主張しているが、楽天モバイルは技術情報は含まれていないと(執筆時点の発表では)主張している。

この事件を「お粗末」と表現したのは、その手法が‟産業スパイ”というにはあまりにも稚拙であることに加え、ソフトバンクの情報管理体制、楽天モバイルの広報対応ともに疑問符をつけざるをえないものだったからだ。

【2020年1月12日19時45分追記】初出時、ソフトバンクの社名表記に誤りがありましたので修正しました。

遠隔接続で添付ファイルを自分自身にメール

合場容疑者はソフトバンクに在籍する最終日に社内サーバーに接続し、メールの添付ファイルとして自分自身が設定していたメールアドレスに送信していた。

あくまでも一般論だが、企業で使われているメールサーバーは情報流出や不正使用を防止するため、何らかの監視機能が設定されていることが多い。携帯電話事業者など情報機密が多い企業ならばなおさらのことだ。

機密情報へのアクセス記録やファイルを添付しての社外への送信などが行われれば、それらを察知することは可能であり、たとえすぐさま察知できなかったとしても、後日、記録を検証することで不正持ち出しがどのように行われたのか、簡単に把握できてしまう。

エンジニアである合場容疑者が、これほど安易で発覚しやすい手法で情報を盗み出したことは驚きだが、一方でこれほど安易な方法で情報を流出させたソフトバンクの情報システムにも驚かされる。

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