由紀子:私のほうもNPOや企業などいくつも仕事を掛け持ちしています。必要なら夜中も働くけれど、それはすべて成果を出すためです。
夫婦が変わるためにできること
2人の話を聞いていて思い出したのは、アメリカの働く親たちのことです。まだ、イクメン・ブームが始まる前の2005年末、物理学者(夫)と経済学者(妻)のアメリカ人カップルに話を聞く機会がありました。2人の子どもを育てながら、トップスクールで教授職に就き、ガンガン研究して稼いでいる夫婦でした。話が男性の育児参加に及ぶと、物理学者いわく「そういえば、僕も育児休業を取ったよ」。
驚いて「アメリカの大学にはそういう制度があるんですか」と尋ねると「いや、そんなのはないけれど、学部と交渉したんだ。もう十分な数の論文を書いていたから、別に遠慮することはなかったよ」という答えが返ってきて、さらに驚きました。
能力が高い人は雇用主と対等に交渉し、望む働き方を手に入れる。斉藤さんの発想は、このアメリカの物理学者パパと通じます。斉藤さんの意見をもう少し聞いてみましょう。
斉藤:女性の活用と言われているけれど、今の企業社会は労働者の動きをガチガチに縛る発想だから、このままだと付加価値の低い仕事に携わる人を増やすだけなのではないかと思います。僕は長男が生まれた当初と比べると変わったわけですが、よく考えてみれば、夫婦が対等な関係の中で理想の環境を家庭内に作ろうと思ったら、夫も家のことをやらざるをえない。
最後に「夫が家で何もしない」と怒り、悩み、あきらめている妻たちへのアドバイスをいただきました。
由紀子:週に1日でいいので、妻が夜、仕事を入れるのはどうか。夫は私の仕事を応援してくれたので、だんだんとそれが日常化していった。知人夫婦も妻が週1回は夜、何時に帰ってもいい日を作っている。まず1回から、1歩ずつ始めるのはどうだろう。一方、妻がギャンギャン言っても変わらないと思う。私がいくら言っても変わらなかった。
斉藤:うーん。でもきっと、言われ続けるうちに変わってくる気もするから、あきらめないで妻から夫に、働きかけるといいのではないかと思う。僕が変わったのも、妻からの働きかけがじわじわ効いていると思うから。そして、ビジネスと同じく、2人でよく話をして、本当にそれが絶対に無理なのか考えるといいのではないかと思います。
由紀子さんと斉藤さんは、子育てや仕事について、夜中に「家庭内ブレスト」をしょっちゅう行っているそうです。
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