「何もしない夫」を変えたディズニーと"声"

子どもの見舞いにも来ない夫が変わった意外な理由

「方向性は違うのですが、根本的には好きなことが似ているのです」と由紀子さんは言います。たとえば、音楽好きでも由紀子さんはオーケストラ部でバイオリンを弾いていたのでクラシックが好き、斉藤さんはドラムをたたいていて、ジャズが好き。共に海外に関心が高く、ドイツが好きな斉藤さんに対しアジアと東欧が好きな由紀子さん――といった具合です。

2人が今、ライフワークとして取り組んでいることにも、共通点とアプローチの違いが反映しています。夫婦共に「子ども」に関する仕事をしたいと共通の思いを持ちながら、由紀子さんは実際の子どもたちのプログラムを考えることに興味があり、斉藤さんは「子どもが楽しみながら学ぶ環境づくり」に興味があるといった具合です。それがいい相乗効果となり、「同じテーマでもお互いのアプローチが違い、そのアイデアを認めて尊重することで、より広がりを持たせることができるのかもしれません」と由紀子さんは言います。

話を聞けば聞くほど、根っこに同じもの、尊重しあえるものがあるからこそ、家庭運営で食い違いが生じても、長期的にはいい形に落ち着いたのだろう、と思えてきます。朗らかで、めったに怒ることがないように見える由紀子さんですが、一度、家庭内でストライキをしたことがありました。

フルタイムで働き、子どもの送迎と家事全般をやったうえで、夜中に帰宅する夫のために夕食を温めなおして出していた由紀子さん。ある時、突然「これはおかしい」と思い「『私はもう食器を洗いません』と言って3~4日くらい放置したことがあります。それでもすぐには変わらず、夫が変わったのはこの2年くらい。イベントの仕事を始めて料理にかかわるようになったのがきっかけです」。荒療治がすぐに効果を表すわけでもないのが現実ですね。

大半の夫は「やる気になれば18時に帰れる」?

ところで、斉藤さんが家事育児をしなかった理由に、働き方の問題はなかったのでしょうか。日本のビジネスマンは長時間労働で帰宅が遅いため家事育児に時間を割けないことは、各種の調査で明らかになっています。「家庭に向かう気持ちや姿勢が変わっても、時間を確保するのは難しいのではないでしょうか」。このように尋ねると、斉藤さんからは意外な答えが返ってきました。

斉藤:僕は初職が金融機関で、ITベンチャー勤務の後、今は自営業になっています。実は、サラリーマン時代を振り返っても、家庭に割く時間がないわけではなかった。なぜなら毎週金曜の18時には息子とTDLに行くことができたからです。はっきり言って、上場企業の半分は、やる気になれば夕方帰れると思う。ベンチャーのときは忙しい役員に合わせて午前0~3時まで会議ということもあったけれど、普通の企業はそこまで極端ではないはずです。

金融機関勤めのときは、システム部門で、本来は外出をほとんどしないのですが、自主プロジェクトを立ち上げて好きなように動いていました。プロジェクトを世に出す際、偉い人の名前を前面に出したので喜ばれたくらいです。

直前に勤めていたのは大手IT企業ですが、仕事ができて上のポジションの人ほどヤンチャ。早いうちに「そういう人だ」と思わせるのが大事だと思う。前の会社のトップは「週末は別の会社を手伝って」と言っていた。自社の仕事を3割くらいしかやっていないのに成果を出している役員もいたほどです。

今は複数の企業で経営やアドバイジングの仕事をしている斉藤さん。「頭脳労働はPCと携帯電話があればどこでもできます」と言うとおり、オフィスと自宅付近と好きなカフェを行き来して仕事をしています。上司や会社のルールに縛られないどころか、自分でルールを作ってしまう強さは、仕事で圧倒的な成果を出せるという自信からきているのだろう、と思いました。この辺りの発想は、夫婦で共通のようです。

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