「何もしない夫」を変えたディズニーと"声" 子どもの見舞いにも来ない夫が変わった意外な理由

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由紀子:当時、夫は本当に何もしなかったのです。長男の病気が治ったら私は仕事を始めてフルタイムで働いていましたが、夫は5年間、保育園の送迎をまったくしなかった。

最近、出産後に夫が家庭参加しないために、夫婦仲が危機的な状況に陥る「産後クライシス」が社会問題化していますが、由紀子さんは「それどころではなかった。『この子を守るのは自分しかいない』と思って付き添う日々だった」と言います。文字どおり、独りで戦っていたわけです。

実は斉藤さんが「何もしなかった」という話は、にわかに信じがたいものでした。由紀子さんと一緒に仕事をすることもある斉藤さんは、いつも進んで準備や接客にあたり、近所の母親たちからは「えらいね」とよく言われているのです。

現在、斉藤さんは毎日、次男を保育園に送ります。お迎えは月曜と火曜が由紀子さん、水曜から金曜が斉藤さん。家事も分担しており、掃除が斉藤さん、料理は由紀子さんが作って、片づけは小学生になった息子が担当します。

文字どおりの「何もしない夫」から、週の半分以上、夜の育児を分担するという大きな変化。いったい、何が斉藤さんを変えたのでしょうか。

意外な「気づき」が夫を変えた!

「どうして、斉藤さんは家事育児をやるようになったのですか?」。このシンプルな問いへの答えは、興味深いことに夫婦で、異なっていました。

由紀子:夫が家事をするようになったのは、子どもがやるようになったことが大きいと思います。今、長男はお皿洗いをするし、私が風邪をひいたら料理を作ってくれます。子どもが動くと、夫も動かなきゃ、と思うようになったのでは……。

斉藤:僕が変わったのには、複数の要因があると思います。まず、妻から何度もしつこく言われた。それがボディブローのようにきいている。もうひとつのきっかけは、東京ディズニーランドだと思います。長男が3歳ごろ、年間パスポートを買って、車で毎週金曜に通うようになったのです。ちょうど仕事のプレッシャーがきつかった時期で、子どもと一緒にストレス解消していた。TDLは子どもひとりで回っても安心なので、その間、自分は本を読んでいたりしました。

由紀子:でも、これじゃあ、遊ぶだけ。イクメンですらないという感じで、好きなことに付き合わせて、そこに子どもがいるという感じですよね……。

夫婦で多少、解釈に違いはありますが、「子ども」それも「家事や遊びを一緒にできる年齢の子どもとのかかわり」が影響していることがわかります。乳児期にかかわりが少ない父親でも、幼児期に入って変わる可能性があるとわかると、少し希望を持てるのではないでしょうか。

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