マンション・戸建て「コロナ特需」のカラクリ 不況恐れた業界の予想は良い意味で裏切られた

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コロナ禍で需要が落ち込むという見方もあったが……(デザイン:杉山 未記)

「今日もヘトヘトです。予約がひっ切りなしに入っていて、残業をしながら接客しています」。 

東京都内で新築マンションを販売する営業員は、疲れながらも満足げな表情を見せる。

この状況を誰が予想できただろうか。2020年4月の緊急事態宣言発令前後、住宅業界は未曽有の事態に見舞われた。多くのデベロッパーがモデルルームや仲介店舗の閉鎖を余儀なくされ、現地への内見もはばかられるなど住宅の販売が困難な状況に追い込まれた。

2020年夏以降、新築マンション販売がV字回復

不動産経済研究所によれば、同月の首都圏新築マンション供給戸数は686戸と過去最少を記録した。中古の成約件数もマンションが前年同月比52%減、戸建てが41.5%減に縮小。市場の「凍結」を目の当たりにした業界は、住宅不況の到来に身構えた。

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ところが、業界の懸念は良い意味で裏切られた。営業を本格的に再開した7月以降、販売がV字回復を果たしたのだ。「夏枯れ」と呼ばれる8月に入っても勢いは衰えず、賑わいは現在も続いている。

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2020年11月に三井不動産レジデンシャルが販売したタワーマンション「パークタワー勝どき」(東京・中央区)は、販売住戸237戸に対して約650件もの申込みが入った。中でも1億2890万円の住戸には、27倍もの購入希望者が殺到した。

購入者の背中を押した背景には、「巣ごもり」の中で溜まった自宅への不満がある。日がな1日自宅にこもっていると、広い部屋や便利な住宅設備が欲しくなる。学校が休校になり暇を持て余した子どもが自宅で遊ぶ中、騒音や振動が近所迷惑にならないかも気がかりだ。グーグル検索では、緊急事態発出前後から「書斎」や「騒音」の検索数が急増した。

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