コロナ禍で「着物」が苦境、バイセル急伸の裏側 「断捨離」増え、出張買い取りのニーズが急増

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バイセルでは、仕入れた商材を業者向けに定期的に開かれる複数のオークションなどで卸売りし、売り上げの大部分を稼いでいる。コロナ禍でオークションの開催中止などの影響はあったが、それを除けば比較的底堅く推移したようだ。

他方、一般消費者向けの販売は、百貨店の催事の客数減が響いた反面、ECが自社サイト・他社モールともに2020年の夏から大幅に伸び、「百貨店催事のマイナス分を補って余りあるくらい」(岩田社長)だったという。

ECの購入層は日常的に着物を愛用している中高年やシニアの女性客が多く、高単価の着物もよく売れるようになった。2019年度は10%程度だった一般消費者向けの販売比率は、ECが想定以上に伸びたことで足元では14~15%まで上昇しているもようだ。

他社と一線を画す「仕入れ力」

同業他社が着物の販売に苦戦する中、バイセルはなぜリサイクル着物を売り続けることができるのか。背景には、圧倒的な仕入れ力に基づいた品ぞろえの豊富さがある。

千葉県船橋市にあるバイセルの物流倉庫では、全国から買い取った大量のリサイクル着物の点検や仕分け、EC掲載用の撮影作業が行われている(記者撮影)

バイセルは2017年からCMを本格展開し、シニア層の間での認知度を一気に高めてきた。同社の2019年度の出張訪問件数は約18万件と、2017年度比で30%拡大。従来は着物の買い取りといえば、「たんす屋」のように特定の店舗に持ち込むスタイルが多かったが、それなりの重量がある着物を何枚も店舗まで運ぶのは高齢者にとって至難の業だ。

バイセルはCMや新聞、投げ込みチラシなどの媒体を駆使しながら「訪問買い取り」サービスの認知度を高め、遺品や自宅の整理に悩むシニア層や富裕層の需要を獲得。岩田社長は「我々の顧客の根本的ニーズは、『少しでも高く売りたい』というより『肩の荷を下ろしたい』ということ」と語る。

バイセルの利用者は6割超が自宅や遺品、生前の整理を挙げる顧客が占め、1回の訪問で数十枚の着物やタンス1竿分の着物を買い取るケースも多い。全国10拠点に約250人の査定員を配置し、「スピーディーな訪問買い取り」という独自のモデルで差別化しているため、他社よりも良い着物を安く、大量に買い取ることができる。そのため、定期的に着物を買う愛好家らの目に留まるような掘り出し物を常時そろえられるのだ。

バイセルでは現状、着物の再販をほとんど国内でまかなっており、当面は海外での新規販路開拓よりも国内市場の深耕に重きを置く方針だ。岩田社長は「着物は縮小市場で『誰が買うの?』と思われるかもしれないが、顧客はいるところにはいる。リサイクル着物市場での当社のシェアは微々たるもので、まだ拡大の余地は十分ある」と意気込んでいる。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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