コロナ禍で「着物」が苦境、バイセル急伸の裏側

「断捨離」増え、出張買い取りのニーズが急増

両社とも、競争環境が激化する中でコロナ禍前から収益悪化に苦しんでいた。複数の呉服店関係者は「薄利多売のリサイクル着物は、枚数が売れないと経営も維持できない。コロナ禍が長引けば着物業界の事業者はさらに減るだろう」と不安視する。

このように厳しい情勢が続く着物業界で今、存在感を高めているのが「着物はバイセル~♪」のCMで知られるバイセルテクノロジーズ(以下、バイセル)だ。

業績のV字回復に手応え

バイセルはシニア層をターゲットとした自宅訪問形式での出張査定を主軸とし、実店舗をほとんど構えずに着物や切手、宝飾品などの買い取り・再販を行っている。新型コロナの感染が急速に拡大した2020年4~5月は、同社も大打撃を受けたが、岩田匡平社長は「2020年7月ごろから(市況が)追い風へと変わってきた」と手応えを語る。

バイセルが百貨店で開催しているリサイクル着物の催事の様子。最近は大手百貨店からの出店依頼が引きも切らない(写真:バイセルテクノロジーズ)

バイセルの2020年12月期決算を見ると、第2四半期(4~6月期)はコロナ禍で減収減益に沈んだものの、第3四半期(7~9月期)は一転して増収増益にV字回復。出張訪問件数が回復したほか、金相場の上昇もあって貴金属など高単価品の買い取りが増えたことが後押しし、通期累計でも増収増益を見込む。

商材別の売り上げ構成比は非開示だが、着物はバイセルの主力商材の1つ。在宅で過ごす時間が増えた影響で「断捨離」のニーズが高まり、昨夏から出張訪問での着物の買い取り依頼も急増した。

もっとも、リユース・リサイクルは出口があって成り立つ事業。気になるのは、増えた仕入れ高に比例して、コロナ禍でそれだけの着物を再販できるのかだ。

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