母親の愛着が欠乏した子は問題行動を起こす
私はできるだけ、あなたの心に届く言葉をお届けしたく、これを書く前に「抱きしめてあげてーー育て直しの心育て」(渡辺久子)を再読してみました。そこに紹介されていた、母親の包むような愛着(アタッチメント)の重要性について、正確にお伝えしたいと思ったからです。
渡辺先生は小児科医で、小児精神医学に関する本をたくさん上梓されている方です。お読みになられたかもしれませんが、幼児期のアタッチメントの重要性を、臨床実践の具体例29例をあげて、私たちに示してくれています。
乳幼児期から思春期にかけてアタッチメントが欠落した子供の多くは、心の発達に致命的な影響を受け、ある時期から突然拒食症や引きこもり、自殺や暴力行為などの問題行動や精神症状を起こす場合が多いのだそうです。
母親に抱きしめられるという行為は、子供にとっては自分を全面的に、ありのままに受け入れてもらえる最初の愛着体験なのだそうで、その欠落が子供にどれだけ不安を与えることになるかは、私たちには想像がつきます。
貴女のお子さんたちは、貴女から抱きしめられないどころか、始終母親の泣いている姿を見せられ、何も悪いことをしていなくとも、いつ八つ当たされるかを恐れながら生活しているのです。大人だってそんな状況だとおかしくなりますが、まして「すでに子供たちまで精神的におかしくなりました」と貴女の目にはそれが映っているのに、貴女はまだ目が覚めないのですか?
母性を発揮しながら輝いた女性たち
ある日突然、夫の背信で気が動転したり、半狂乱に陥る妻は古今東西、珍しくありません。それでも私の知る限り、特に子供さんがいらっしゃる場合は、泣いてばかりでは事情が許さないのが普通です。
私のとても親しい人千鶴子さん(仮名)は4人姉妹の3女ですが、姉妹で一番優秀で美人。一人息子が5歳のときに、大恋愛の末に結婚した企業の跡取り息子である伴侶に、別れを宣告されました。伴侶に新しく好きな人ができたという理由です。
千鶴子さんは半狂乱。あとの3姉妹と私は入れ替わり立ち代り、なだめたり脅したりして千鶴子さんの伴侶とその愛人を説得しましたが、逆効果でした。千鶴子さんは人前で落ち込んだり子供に優しくできない時期もありましたが、表面的には数年で、人生のやり直しに立ち上がりました。
大学の講師をやめて旅行添乗員の資格を取り、海外を飛び回ることにしたのです。子供を近所に預けたりして大変でしたが、身は離れていても心はいつも傍にいたと言います。
今は息子も社会人。はつらつと働く千鶴子さんのところに元伴侶は戻りたがっていますが、息子さんだけが会っています。千鶴子さんは何度か会いましたが、何も心が動かなかったそうです。
美奈子(仮名)さんの場合は確かに執念深く、5年ほどかけて逃げた夫をつなぎとめようとしましたが、そういう場合の男側は、会ってもダンマリか「別れてくれ」の一点張り。心の傷は深くなるばかりでした。
身近で何人もこのような妻側を知っていますが、程度の差こそあれ、皆さんは子供さんはしっかり守っていました。そして子供を立派に育てることでご自身も成長されたのでしょうか。取り乱していたころが想像できないほど皆さん魅力的な女性になり、無責任に妻子から去った男性の何人かは、あまりいい人生を送っていません。
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