コロナで「勉強不安が再燃」の親子がすべきこと 「今だからこそ」のテーマで「思考力」を鍛える

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 トイレットペーパーなど、物資が枯渇するという情報が正しくなくても、なぜ人は購入に走るのか? 自分だったらどう行動するか?
 オンライン授業と通常授業のメリットとデメリットとは何か? 自分はどちらに向いているか? またそれはなぜだろうか?
 コロナによって生活の何が変わったか?
 テレビ番組の作り方はどう変わったか?
 テレビCMはソーシャルディスタンスを意識して作られているか、そうではないか。意識してないとしたらそれはなぜか?
 コロナになってYouTuberたちはどのようなテーマを出しているか
 海外旅行に行けなくなると、人はどういう行動をとるのか
 コロナ期でも繁盛しているレストランはどのようなレストランか?
 非常時に出てくる新しいテクノロジーや仕事はどんなことか? またそれはなぜか? 

また、図や表をみて読み取る問題が、今後の入試では多く出題されます。そこで、統計データから何がわかるのかということも、身近なテーマを使って慣れてしまいましょう。

非常期においては、毎日のようにグラフや表が出てくる傾向にあるためそれを有効活用するのです。

例えば、

 コロナ感染者数のグラフと100年前のスペイン風の感染者数のグラフを見比べてみて何がわかるか?
 47都道府県の感染者数のばらつきはなぜ起こるのか?
 人口当たりの感染率でみたらどういう順位になるか?
 同じ感染症対策をしていて、なぜ新型コロナは増えて、インフルエンザは激減しているのか?

こうした”思考活動“をしていると、日常の観察力が高まり、調べる習慣がつくといった知的効果があるだけでなく、物事を冷静に見る習慣が身につきます。

非常期だからこその対話で「学び」を

非常期の気持ちは不安、心配、恐怖に向かいがちです。しかし、このような非常期特有のテーマを意識的に目的を持って話題にすることで、論理的思考ができ、ネガティブな感情が緩和する可能性もあることでしょう。そして時には、楽しさや面白さも誘発されることもあるはずです。

以上のような問いに、子どもが乗ってこない場合もあります。それはそれでまったく問題ありません。そのときは親の学びの機会にしてしまえばいいのです。このような問題意識を大人が持つことで、その姿は自然と子どもに目に映ることでしょう。

また、子どもはこのような問いに対して「わからない」という言葉で返してくることもあります。それも問題ありません。なぜなら、このような問いをされて、一瞬でも子どもは「思考状態」になるからです。思考すること自体が重要なのであって、答えが出るかどうか、正しいかどうかは二の次だからです。

ぜひ、非常期にしか扱えないテーマで対話することで、「学びの土台」と「気持ちの安定」をもたらしてみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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