マンション住民の困惑、ずさんな施工や修繕計画でトラブル続発
管理会社の責任を追及したのは、「コスモスイニシアから委託を受けて、項目の漏れの多い長期修繕計画案を作ったうえ、鍵の紛失や無断での管理費の引き落としなど、不適切な管理が目立ったため」(田中理事長)という。
こうした中、2月26日の衆議院国土交通委員会では、みんなの党の柿澤未途衆議院議員が同マンションを、「業者による長期修繕積立金の意図的な低額提示」の問題事例として取り上げた。
質問を受けた前原国交相は「まだ(上申書は)読んでいない」としたうえで、「(あらためて)資料をいただければ調査をし、適切な対応を取らせていただきたい」と答えた。また、住民の権利保護を目的に制定されたマンション管理適正化法に、長期修繕計画の低額提示の罰則を導入することについて、「前向きに検討したい」と述べている。
週刊東洋経済の取材要請に対し、コスモスイニシアは、「係争中につきノーコメント」、コスモスライフは「個別案件にはお答えできない」との姿勢を貫く。しかし、資料や実地調査、関係者への取材などを基に、住民と両社のやり取りを検証したところ、両社の顧客への対応には重大な問題があったと思わざるをえない。
施工不良が相次ぎ判明 対応を渋った分譲会社
紛争の発端は、2008年10月。近隣住民からマンションの外壁のあちこちに異変(調査で「白華(はっか)現象」と判明)が生じていると、田中理事長に伝えられたことから始まった(下写真参照)。
白華とはコンクリートの表面に現れた白色の物質で、炭酸カルシウムを主成分としている。多くはコンクリート内部に侵入した雨水が炭酸カルシウムとともに、外壁の表面に浮き出すことによって生じるもので、マンションの外観を損なう。