マンション住民の困惑、ずさんな施工や修繕計画でトラブル続発
しかし、費用の負担を拒否されたため、同社の木村惠司社長宛てに善処を求めたものの、「札幌支店に一任している」との返答が来た。ところが話し合いは進まず、支店長が顔を見せることは一度もなかったという。
三菱地所の説明は、「分譲した1997年当時、凍結防止剤による塩害は予見できなかった。それゆえに費用の負担はできない」というもの。その理由として、三菱地所は「当時、札幌市道ではさびを誘発させにくい酢酸系の凍結防止剤を使用していたこと」を挙げる。
一方、国道などでは塩素系物質が使用されていたことや、当時から塩素系物質が塩害をもたらしていることが知られていたことを理由に、住民は同社に抜本的な対応を求めている。
加えて住民は、機械式駐車場の修繕費用が20年間で865万円で済むという三菱地所が分譲時に提示した長期修繕計画も問題視している。
「同じメーカーの別のマンションの機械式駐車場(15台)では機械の入れ替えに必要な金額を含めて2800万円以上もかかるとされている。なぜ、36台の当マンションが865万円で済むのか、納得のいく説明がない」(榊原理事長)。
自浄作用がなければ罰則強化の可能性も
神奈川県大和市内のマンション(5階建て、35戸)でも、修繕計画をめぐる紛争が起きている。このマンションでは08年11月に、378万円をかけて機械式駐車場を含む鉄部分の塗装を行うことや、長期修繕積立金の倍近い値上げ計画が、突然持ち上がった。
不審に思った住民の佐久間忠さん(仮名、74、昨年10月に理事長に再任)が管理会社に問いただしたところ、事前に修繕工事計画に関する説明会を開く予定がなかったことが判明する。