コロナ変異種「重症率が同じ」でもヤバい理由

出現元のイギリスはクリスマスもロックダウン

大規模なロックダウンに踏み切ったイギリス(写真:Andrew Testa/The New York Times)

新型コロナウイルス変異種の急速な感染拡大に警戒感を強めたイギリスのボリス・ジョンソン首相は12月19日、それまでの方針を急転換し、大規模なロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。首都ロンドンを含むイングランド南東部の大部分が対象で、クリスマスシーズンに世帯の枠を超えて集まることも禁じられた。

変異種は数週間前にイングランド南東部で見つかっていたが、新たなエビデンス(科学的証拠)の報告を受けたイギリス政府は緊急閣議を開いてロックダウンを決めた。変異種は従来のウイルスに比べ感染力が最大で7割高まった可能性がある、とジョンソン首相は語っている。

20日から実施されている新たな対策の狙いは、首都とその周辺の州を国内の他地域から実質的に切り離すことにある。3月のロックダウン以降で最も厳しい措置だ。感染拡大が危惧される冬はすでに本格化しており、そこに変異種が加わったことで感染が猛烈に拡大する恐れがある——。そんな危機感の表れといえる。

ジョンソン首相は19日、「ウイルスが攻撃方法を変えてくるなら、われわれも防御の方法を変えなくてはいけない」と深刻な表情で語った。「変異種は急速に拡大している。今わかっている情報に基づいて行動する必要がある」。

変異種による新規感染が全体の6割強に

ウイルスの変異は珍しいことではない。イギリス当局は国名までは明かさなかったが、問題の変異種はイギリス以外でも複数の国で確認されていると語った。イギリス政府の医療専門家らが警戒感を示しているのは、感染力の強さだ。同専門家らによると、今やロンドンではこの変異種による新規感染が全体の6割を上回るようになっている。

変異種の急速な広がりは必ずしも感染力の高さを示すものではない、とクギを刺す科学者もいる。別の要因で感染が広がっている可能性もあるため、ラボでの実験などさまざまな分析を行った上でなければ確たることは言えない、というスタンスだ。

ただ、この変異の特徴がどのようなものであれ、イギリスの危機が深刻化しているのは間違いない。イギリスでは大規模なワクチン接種プログラムが始まったが、新規感染者の増加ペースは過去2週間足らずで2倍近くにまで加速した。人口比ではアメリカを大幅に下回っているとはいえ、西ヨーロッパでは最悪のレベルだ。

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