コロナ変異種「重症率が同じ」でもヤバい理由 出現元のイギリスはクリスマスもロックダウン
ジョンソン首相はそのわずか数日前に、クリスマスをキャンセルするのは「非人間的だ」と語ったばかりだったが、多くの国民にとってクリスマスは事実上キャンセルされたに等しい。政府はクリスマス期間中に最大3世帯まで集まることを認めるとしていた。しかし、この方針はロンドンを含む南東部では撤回され、複数世帯が交流することは禁止された。
対象地域外では3世帯までの集まりが許可されるものの、クリスマス前後5日間とされていた規制緩和期間は、クリスマス当日の1日のみに限定された。
国を3つの警戒レベルに区分し、それぞれに異なったルールを適用するという従来の規制方式では感染を十分に抑制できていないーー。ジョンソン首相が発表した今回のロックダウンは、こうした現実を認めるものであり、一段と厳しい規制の対象となる「ティア4」(警戒レベル4)が新設されることになった。
南アフリカでも変異種が出現
ジョンソン首相は首相として規制を自らの判断で強化できる法的な権限を有しており、議会の召集も予定されていない。しかし今回、ロックダウンの導入が発表されると、野党からだけでなく、身内の保守党からもすぐさま反発の声があがった。
「全国の何百万人という家族は、このニュースを聞いてさぞやがっかりするだろう。なにしろ、クリスマスの予定を台なしにされたのだから」と労働党のキア・スターマー党首はイギリスの公共放送BBCに語った。
「本当に腹立たしい。この問題については16日に首相に問いただしたばかりだが、そのとき彼は規制強化を否定して『クリスマスを小さく祝おう』と国民に言い続けた。そのわずか3日後に国民の予定をひっくり返すとは」
保守党内でロックダウンに批判的な議員連盟を率いているマーク・ハーパー氏は「このような政策変更は、できる限り早期に下院での採決にかけられなければならない」と語った。
公衆衛生の専門家らによると、新型コロナは2019年に中国で最初に発生が確認されて以降、何度となく変異を繰り返してきた。18日には南アフリカも変異種によって感染拡大の新たな波が起きていると報告している。イギリスで確認されたのとは別の変異種だと科学者らは話している。
変異種の多くは重大な影響を及ぼすものではない。が、感染者が増え、何らかの免疫を持つ人の数が増えると、病原体に変異を促す力は一段と大きくなっていく。そして変異が繰り返されているうちに、従来のウイルスよりも感染力が強く、重症化につながりやすい変異種が現れる可能性がある。
(執筆:Mark Landler記者、Stephen Castle記者)
(C) 2020 The New York Times News Services
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