ビジネスプランは死語、A4一枚で起業できる アイデアはプレゼンでなくピッチで売り込め

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ちなみにアントレプレナーシップ教育(MBA)のランキングで全米1位(U.S. News & World Report)のバブソン大学では「ビジネスプラン」という用語はほぼ死語。分厚い計画書を作成することも、端から端まで読むこともナンセンスであるのは、起業家も投資家も知っている。

そもそもビジネスプランの是非については経営学の世界の中でも議論が尽きない。意味があるのか? それは起業家の頭の中を整理するためなのか? 資金調達のためなのか? 実際に資金調達にどれほど役立っているのか? 新事業に対して5年後、10年後の正確な予測ができるはずがない。売り上げや利益の予想数字も表計算ソフトで瞬時に操作することができてしまう。

バブソンのみならず多くのビジネススクールでは、「ビジネスプラン」ではなく、「ロンチプラン」(Launch=発射)をつくる。起業時に適切なのは、いかに飛び立つか。必要最低限の情報をより現実的に描き上げることが求められる。ロンチプランはワード文書よりプレゼンテーションができるスライド・デック(スライド資料集)であるケースが多い。スライド数枚をA4一枚、2枚程度にまとめておく。大切なのは、それをもっていつでもどこでもピッチをできるようにしておくことだ。

ピッチとプレゼンの違い

ここでピッチについて説明しておこう。短い形のプレゼンテーションで、アイデアを短時間で簡潔に、投資家や新規顧客に対して売り込む方法だ。もとは、シリコンバレーでスタートアップを目指す若者が投資家に対して事業アイデアなどを売り込むことを「ピッチ」と呼んでいたが、今では日本のビジネスシーンにも浸透してきている。

普通のプレセンテーション(以下、プレゼン)とは別物と考えてよい。プレゼンは上司やクライアントや、その内容を詳しく知りたい人のために行うことが多いはずだ。じっくり、聞いてももらえるから、データを用いて、ロジカルに説明する。場所も会議室や、プロジェクターやスクリーンが設置・準備されている会場が多い。

次ページ一方、ピッチは
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