いい人がいたら、どこまでも追い続ける
南:とはいうものの、多くの経営者に採用の様子を伺ってみると、「結局は人が大切」とおっしゃっているわりに、「採用に時間を割くのは面倒」だとか、「忙しすぎるから無理」などとおっしゃる人が多いのです。南場さんは、自分から仕掛けていって採用に至るケースが多いのでしょうか。
南場:とにかく、欲しいと思った人はずっと追いかけます。それも、何年も。今も欲しいなと思っている人がたくさんいるので、時々、お会いしては、お茶を飲んでお話を伺ったりしています。いい感じに育っている人は、どこまでも追いますね。
南:以前、アメリカまで追いかけたというエピソードをお聞きしましたけれど。
南場:時々、会って飲んだりしていた人が、米国に赴任した件だと思います。その人が帰国した際に日本で会って話をしていたら、「独立をして事業を起こしたい」と言い始めて。「それじゃ、DeNAでやったらいい」ということで、通算4年ぐらい口説き続けて来てもらった人がいました。
最近もそんな感じで口説き続けて入ってくれた女性がいるのですが、絶対にこの人が欲しいと思ったら、とことん付き合います。「今週、空いている時間はありますか?」って聞くと、忙しい人だから「ないです」と返ってくる。でも、よくよく聞いてみると「○曜日と○曜日と○曜日の夜中なら……」と。「その3つ、全部ちょうだい!」と言って、とにかく会う。そしてDeNAの、イケていないところを全部さらけ出して、「助けてほしい」と正直に話します。そんなことばかりやっています。企業にとっては採用がいちばん大事ですからね。
南:僕もそう思います。採用がいちばん大事。
南場:ひとりの人間が、会社にすごい変化をもたらしてくれることもあります。なぜ他社が、欲しい人をしつこく追いかけ続けないのかが不思議です。
南:採用にあたっては、どのようなスキルが必要だと思いますか?
南場:特別なスキルは必要ないと思う。正直であること、誠実であること。そして、DeNAなど知らない、興味もないという人を口説いていくのだから、まずは人間同士のフラットな関係を作ることが大切だと思っています。たとえば、企業の取締役と一般社員という関係ではなく、人と人という形を作って信頼関係を育むことが重要かなと思います。
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