採用はトップマネジメントの仕事
南:ビズリーチは2000社の会社の採用をお手伝いさせていただいていますが、外資系企業は人材紹介会社を使わず企業自らが積極的に採用するダイレクト・リクルーティングへと完全にシフトしています。そして御社は、日系企業の中では「肉食採用」に近い方向に舵を切り始めている先頭群にいると感じています。
南場:私は、採用を人事に任せるのはよくないと思っているのです。やっぱり採用は、トップマネジメントマターだと思います。どういう人材を集めて来るかは、トップが決めなければならない。
あと、企業活動のすべての接点を、採用のヒントだととらえなければならないと思っています。たとえば、取引先から人を引き抜くのはよくないことだけれども、その人の心が揺れて転職を考え始めたときに、DeNAに来ていただくことになるかもしれない。今でなくても、何年も先に、そういうチャンスが訪れることだってあるわけです。だから、普段、事業をやっていくうえで、すべての接点が人材採用につながるということは、意識しておいたほうがいいと思う。
南:今後、採用や人材活用の面でやっていきたいことはありますか?
南場:いろいろあります。まずは、プロジェクト単位で人を集めたり解散したりということをやっていきたい。これからは、組織に固定的に属するのだけが正解ではなくなると思うので。
たとえば、アプリを作って事業化している学生のチームがありますよね。それをチームごと採用するのもいいけれど、出資するという観点もありだと思う。ユーザーの審判がある程度出ているサービスの世界同時展開をドカンとサポートするとか。そんなタレントの見つけ方を、プロジェクトベースでやっていきたいな。
もうひとつは、どうしたら世界の市場と相撲が取れるチームを育てていけるのかを考えたい。DeNAには日本ならではのよさもあるので、そのよさを失わずにいろいろ試してみたいんですよね。「外国籍の人を入れたからグローバルだ」というのは、違うと思うのです。どこの人であろうがグローバルだという、そんなチームを作り上げることにトライしたいなと。
南:僕の印象では、御社で唯一足りないのは、採用にかかわる人材なのではないかと思うのです。たとえば外資系大手IT企業の場合、日本支社でも数十人単位で中途採用のリクルーティングチームがあるんですよ。ですから御社にも10人ぐらいいても不思議ではないと。
採用はプロセスマネジメントや営業と同じで、どのくらいの母集団を集めてきて、何人面接をして、最終に受かるのは何人で、入社するのは何人というマネジメントがあって、KPI管理をしていく。母集団をどう集めるのかを考える企画的な部分は、自社を最もよく知るエース級の社員が行うべきですが、その後はプロセスマネジメントと同じです。
とはいえ、やはり少ない人数では、有望な候補者全員に声をかけることができない。その部分に関しては営業と同じで、少ない人数では絶対に勝てません。創業5年のビズリーチでさえ、採用担当は5人います。やはり採用が命ですから。
南場:DeNAは採用に対する意識は高いけれど、やっていることはまだまだで。もう少し新しいことをやらないといけないですね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら