昭和の時代には、オフィスや会社の食堂を利用した「クラブ忘年会」、休業を装った飲食店の中でこっそりと開く「カンヅメ忘年会」、旅館や簡易宿泊所を丸々借り切った「宿泊忘年会」などなど、中には警視庁に摘発されるほどの催しがあったほど。
法令違反してまでも催さなければいけないほど、「職場の忘年会」は会社にとっての一大行事に位置づけられていたのです。それほど、かつてのこの国においては、会社で仕事をするということの重要な一部として、上司や同僚と酒を酌み交わしてドンチャン騒ぎをすることが組み込まれていたのでしょう。
「忘年会スルー」というトレンドに拍車
しかし、いかにも昭和的なこの「飲みニケーション」は、令和の時代になっていよいよ崩壊の危機に瀕しています。その兆候としての事象が、コロナ禍に先立つこと1年、昨年末に注目を集めた「忘年会スルー」です。スルーは無視という意味で使われていて、この言葉がSNSでバズりました。これによって若い世代を中心として、職場のオフィシャルな忘年会に参加したくないという声が表面化したのです。
参加したくない人の本音は、
「気を遣うので疲れる」
「上司の話を聞くのが面倒くさい」
「2次会のカラオケがイヤ」
「飲み放題にすることが多く、料理の質が低くなり代金はそれなりにかかる」
「失礼なことをしないか気になって楽しめない」
「金銭的な負担額が大きいから」
といった声に集約されます。
これは、忘年会そのものへのバッシングというのではありません。会社の忘年会に半ば強制的に参加させられることに納得がいかないと考える人の心の叫びと捉えるのが望ましいでしょう。
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