「AI婚活導入」を急ぐ日本政府が的外れな理由 まずは「魅力的な国・自治体」作るほうが先
では、誰がAIを使って婚活支援するのに適役なのでしょうか。民間の結婚紹介業者は、すでにデータがかなり蓄積されており、フォローアップなど事業運営のノウハウを持っているので、断然適役に見えます。
「結婚紹介業界」が抱える問題
お見合い文化の日本では、結婚相談所など結婚紹介業はあまり発展せず、平成初期まで500億円程度の市場規模だと言われていました。ところがその後、婚活ブームが起き、婚活アプリなど技術革新もあって、今では2000億円のビジネスに成長しています。
ただ、業界にはさまざまな問題があり、結婚したいという国民の願い、婚姻数を増やしたいという国・自治体の期待に十分に応えることができていません。極論すると携帯電話1つあれば起業できる参入障壁の低いビジネスのため、質の悪い事業者が横行しているからです。
不透明な価格体系で利用者に法外な手数料を請求する業者が多く、「高額の入会金を払わされた。退会したら返還してくれる約束だったのに、返還してくれない」といった苦情が後を絶ちません。
「結婚相談所で紹介された外国人女性と現地で結婚式をしたが、女性は来日せず、次々と手数料を請求された」といった悪質なケースもあります。多くの婚活アプリは、出会い系サイトと類似したサービスを提供しており、性犯罪や美人局(つつもたせ)の温床にもなっています。
独立行政法人国民生活センターには、結婚相談所に関するトラブルや苦情の相談が多数寄せられており(2019年は1607件)、ちょっとした社会問題になっています。
また、伝統的な結婚相談所は勘と経験に頼った労働集約型の事業システムで、オペレーションが合理化されていません。そのため、事業者の多くが低収益に悩まされています。
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