ゴア元米副大統領の「二面性」とは? 田坂広志 多摩大学大学院教授に聞く(3)

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――たしかに、メルケル首相は、かつてのサッチャー英国首相を思わせるところがありますね。

そうです。そして、そのメルケルが、「したたかな政治家」の真骨頂を示した場面がありました。

2011年3月の福島原発事故です。

彼女は、この事故の直後に、ドイツのエネルギー政策を、「原発推進」から「脱原発」に、大きく舵を切りました。
 あのままでは、野党の環境政党、「緑の党」の躍進が続くと予想される場面で、大胆な政策転換を行ったのです。
 メルケルの、その現実感覚と、バランス感覚は、文字通り「したたか」と形容すべきものであり、彼女の真骨頂を示したものでしょう。

このように、アンゲラ・メルケルが示す、「親しみやすい人物」の姿と、「したたかな政治家」の姿。アル・ゴアが示す、「情熱的に語る人物」の姿と、「冷静に自分を見つめる人物」の姿。
 一人の政治家の中に、一見、矛盾する二つの人格が、同居しています。

情熱と冷静の同居。
 理想主義と現実主義の同居。
 慎重さと大胆さの同居。
 優しさと厳しさの同居。

優れた政治家は、この「対極的な人格」の間でバランスを取りながら、国民に向き合い、目の前の現実に対処しているのです。
 そして、その巧みな「バランス感覚」を感じるからこそ、人々は、その政治家を信頼するのでしょう。

ダボス会議において、優れた国家リーダーを見るとき、いつも、そのことを思います。

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