ダボス会議で最高のスピーカーは誰か 田坂広志 多摩大学大学院教授に聞く(1)
「胆力」で聴衆を呑んだサルコジ前フランス大統領
――ダボス会議において、フランス前大統領のニコラ・サルコジのスピーチを聴いたとき、その印象は、どうだったでしょうか?
フランスは、大統領クラスになると、誰もがスピーチはうまいので、サルコジも、スピーチの技術はうまいのです。しかし、初めて彼のスピーチを聴いたとき、その「技術」よりも、その「内容」に驚きました。
彼のスピーチを聴いた瞬間、
「この聴衆の前で、こんな話をして良いのか?」
「聴衆は、内心、相当な反発を感じているのではないか?」
そう感じたのですが、次の瞬間、何が起こったか?
彼は、話術における「究極の力量」と呼ぶべきものを使ったのです。
そして、一瞬にして、その場の雰囲気を制したのです。
――「究極の力量」とは、何ですか?
「胆力」です。
いまや、日本において、この言葉は「死語」となりつつありますが、サルコジは、その「胆力」によって、ダボス会議の場を制したのです。


















