「はったり」がないと世界では勝てない テレパシー・井口尊仁CEOと語る(上)

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 米グーグルと真っ向から勝負を挑む日本人がいる――。
 今回の対談相手は、テレパシーの井口尊仁CEO。今年1月にラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)でも、話題をさらい、「スマートフォンの次」と呼ばれるウエアラブル(身に付ける)端末。中でも、メガネ型ウエアラブル端末で米グーグルの「グーグル・グラス」に戦いを挑む起業家だ。
 テレパシーは2013年8月、米ファーストハンド・テクノロジー・バリュー・ファンドから500万ドル(約5億円)の資金を調達し、14年中にメガネ型ウエアラブル端末「テレパシー・ワン」の発売を予定している。テレパシー・ワンはすでに、「グーグル・グラスの対抗馬、現れる!」の海外メディアをにぎわしている。
 本連載のホスト伊佐山元氏は、頓智ドット時代から井口氏を知る、旧知の仲。今回は2人で「世界で戦う起業家に大事なこと」をテーマに語る。

僕だって“躊躇”がないわけではない

伊佐山元(以下、伊佐山):井口さんとの出会いは2008年の冬、シリコンバレーのベンチャーキャピタルDCMに勤務している時期です。井口さんは当時、自ら起ち上げた頓智ドットで、「セカイカメラ」という現実の背景に情報を重ねて表示する、AR(拡張現実)技術を用いたスマートフォン向けアプリに取り組んでいるときでした。その後、DCMは、頓知ドットに投資するのですが、井口さんはとにかくインパクトがありました(笑)。投資を決めるデューデリジェンスをした際に、失礼ですが経営者っぽくなく、哲学者みたいでした。

井口さんを拝見していて大事だと思うことは、頓智ドットが、今、新しい経営者で新たな挑戦に向かっている中、井口さん自身もウエアラブル(身に付ける)端末を作るテレパシーを起ち上げ、セカンドチャプターを始めている点です。

普通は、初めのプロジェクトをやめて、再挑戦する場合、同じテーマを避けるパターンが多い。「1回失敗したのに……」となるわけです。だけど、井口さんは、再びテレパシーを起ち上げ、スマートフォンに続く次世代端末として注目されるウエアラブル端末で、さらにハードルの高いことに取り組んでいる。米グーグルと対抗するなど、誰もができるわけがないと思っていることを、あえてやっているところがすごいと思いますね。

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