日本人よ、「ルールブレーカー」になれ! クオンタムリープCEO・出井伸之氏と語る(下)

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 「かけ算」によるシナジーができれば、日本は変わる――。
 WiL伊佐山元CEOとクオンタムリープ出井伸之CEOの対談で話題となったのは、2つの「かけ算」の可能性。前回は、「大企業とベンチャーを掛け合わせる可能性」について論じたが、今回はもうひとつの「熟練CEOと若手CEOを掛け合わせる可能性」について語る。
 出井氏は自らCEOを務めるクオンタムリープにて、20社近いスタートアップを支援している。76歳の今も、自ら「エグゼプティブプロデューサー」と称し、いくつものプロジェクトを取り仕切り、積極的に若手CEOとかかわっている。「僕が入社したときのソニーはベンチャー企業だった。それが世界を動かす大きな企業へと成長した」と話し、ベンチャーの可能性とそれに必要な道筋について語る。

 対談前編:“「大企業×ベンチャー」で日本は変わる!”はこちら

「熟練CEO」×「若手CEO」というかけ算ができるか

出井伸之(以下、出井):僕は、日本社会に創発的なイノベーション、新しい産業、新しい事業を生み出す仕掛け作りをしたいという思いからクオンタムリープを始めた。クオンタムリープでのコアとなる考え方は「かけ算」。今の日本に必要なのは、前回お話した「大企業×ベンチャー」だけでなく、「熟練CEO×若手CEO」もだ。熟練のCEOやビジネスパーソンの経験や知識、そして彼らが紡ぎだすネットワークと、若い起業家のエネルギーや技術を掛け合わすことだ。「志」のある若い起業家と熟練の優れたCEOがかけ合わされれば、日本に大きな変化を起こすことができるだろう。

ただ、日本ではいまだにCEOの定義があいまいで、「会長兼CEOになったら、暇になったんですよ」などという言葉を聞くことがある。今、求められているCEOは、ハンズオン(奥座敷に引っ込んでいないで自ら現場に出る)で、自分の手で行うリーダーのことです。

伊佐山元(以下、伊佐山):日本ではベンチャーというと「若い人の集団」というイメージが圧倒的に強い。日本のベンチャーシーンをさらに盛り上げるためには、今のままではダメで、まさに熟練のCEOや経験を持ったビジネスパーソンを、ベンチャー業界に連れて来る必要があると思っています。現在は、ベンチャーカンファレンスに行くと、40歳以上で“おっさん”扱いですから(笑)。

シリコンバレーをはじめアメリカをみても、ベンチャーは「若いだけ」ではない。たとえば、フェイスブックでも上場する前には、シェリル・サンドバーグを連れてきて、COO(最高執行責任者)に据えた。初めは若い人たちを中心で始めるけれど、ある段階になれば、業界に政治力がある人や経験がある人と組むという例がよくあります。熟練のビジネスパーソンと組むことは、アップル、グーグルでも自然に行われている。

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