「はったり」がないと世界では勝てない テレパシー・井口尊仁CEOと語る(上)

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井口尊仁(以下、井口):僕は屈託がないというか、天真爛漫というか……。頓智ドットを応援してくれた伊佐山さんには、レピュテーション(評判)やビジネスの信頼関係の面で裏切っており、「迷惑をかけた」なんてものではすまないと思っています。ただ、伊佐山さんとはこうして現在もよくお会いしています。それは、最初に投資いただいた伊藤忠テクノロジーベンチャーズさんやジャフコさんも同様です。

「前回のプロジェクトの投資家に会うのに、躊躇がないのか」と聞かれると、ないわけではないんですよ。僕も人間なので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいで、土下座したいくらいです。だけど、大志大望があるので、その躊躇を乗り越えちゃおうと思っています。テレパシーでもっとでかいことをやってやろうと本気で思っているので、「前回の失敗の学びも活かしているので、ぜひまたお願いします」という気持ちです。とはいえ、時々、ふと泣きそうになるんですけどね(笑)。

伊佐山:僕も、たまに自分がやろうとしていることをまじめに考えると、憂鬱になりますね。ふと、われに返ったときに、「とんでもないことをやろうとしているな」と。まじめに考えると寝られなくなるというのがあるじゃないですか。

井口:そうそうそう。本当に夜、寝られない。だから、昼寝ちゃう(笑)。悶々としちゃいますよね。週末とか変に時間があるときに、素に戻ったりしたら「ヤバい」ですよね。

「象とありんこ」でも勝負を挑む理由

――現在はウエアラブル端末で、米グーグルに挑戦状をたたきつけています。井口さん自ら「象とありんこの競争」とおっしゃる中で、なぜ挑むのでしょうか。

井口:日本の常識的な考え方だと「すっ飛んでいる」と思われます。ただ、伊佐山さんならご理解いただけると思うのですが、新しいデバイスの場合、マーケットをつくることが重要です。おカネも人手も知恵も工夫もすごく必要になる。その点、メガネ型のウエアラブル端末は、米グーグルが800億円近くかけて、R&D(研究開発)以外のPRや法務、ロビーイングなども行い、法律的、社会的な問題を解決していってくれる。

僕らはその800億円に5億円を乗せているのです。わかります? このレバレッジたるや、とんでもないわけです。

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