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ゴア元米副大統領の「二面性」とは? 田坂広志 多摩大学大学院教授に聞く(3)

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「素人の感動」と「玄人の感動」

――プロフェッショナルでなければ、その「冷静な人格」に気がつかないのですか・・・

そうですね。
 ただ、世の中には「素人の話者の感動的な話」というものがあります。

例えば、冬山で遭難しそうになった登山隊が、ぎりぎりの極限から生還する。
 生還した後の記者会見で、隊長が「あの瞬間、皆、絶望的な気持ちになったのです。しかし、無線から聞こえてくる声だけが、我々を支えました」といった話をする。
 こうした話は、たしかに多くの人々の感動を呼びます。それは、その話の中に、「生還できた!」という真実の思いが込められているからです。そして、そこには、「この話で感動させてやろう」「自分をアピールしよう」といった妙な意図や計算が無いからです。
 従って、「素人の話者の感動的な話」というものは、たしかに、あるのです。
 そこには、「冷静な人格」は存在しないし、必要もありません。ただ、真実の思いを語ればよい。

しかし、もし、仮に、この隊長が、この感動的な話をテレビや講演で何度もするようになったならば、そこには、必ず「自意識」が芽生えてきます。そして、多くの人々が感動する姿を見るにつれ、密やかな「自己陶酔」が起こり始めます。
 その結果、心のどこかに、「また、この話で感動させてやろう」「このテレビで、自分をアピールしよう」といった意図や計算が忍び込み始めるのです。
 しかし、その場合、テレビの視聴者や講演の聴衆は、意識と無意識の境界で、その「自己陶酔」的な意図や計算を感じ取り、気持ちが退き始めます。従って、こうした場合には、やはり「冷静に自分を見ている、もう一人の自分」が、必要になってくるのです。

このように、「素人の話者の感動的な話」と「玄人の話者の感動的な話」は、その一点において、違います。

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【同じ話を、常に新鮮な気持ちで語ることができるか】

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