レヴォーグがフィットとヤリスに競り勝った訳 日本カー・オブ・ザ・イヤー20-21選出の裏側

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レヴォーグ開発の陣頭指揮を取った五島賢氏は「新型レヴォーグは『継承』と『超革新』をコンセプトにチーム総動員で開発してきました。私たちが『いいクルマ』と言ってもなかなか伝わらず、COTYを取る事が『お客様の心の導火線に火をつける』ためにいちばん重要だと思っていました。まずは購入いただいたお客様に受賞を報告したい。そしてレヴォーグにかかわった人すべてに感謝したいと思います」と時に言葉を詰まらせながら歓びを語った。

GRヤリスを購入した筆者だが基準は「ユーザー」

その一方で極めて個人的なことを言わせてもらうと、筆者が自分のマイカーとして購入したのはGRヤリスである。その理由は単純明快で絶対的な「パフォーマンス」とトヨタの「志」に惚れたからだ。

「モータースポーツ活動を通じて量産車を鍛える」というモリゾウこと豊田章男社長の想いがトヨタの独自開発・生産で実現したこと、トヨタのルール/基準を超えた「設計」、データとドライバーコメントを紐づけした「評価方法」、その場で直してすぐに乗ってもらうといった「スピード感」、「プロドライバー」の積極的な起用、スーパーカー並みの「高精度」を量産ラインで実現、少量でもコストを上げない「工夫」など、従来のトヨタの常識を覆した数々の「挑戦」に関してはレヴォーグ以上に高く評価している。

ただ、筆者のCOTYの選考基準は“私”が中心ではなく“ユーザー”が中心である。今回もその点に関しては譲れなかった。

もちろん、今回の結果に“物言い”をしたい人もいるだろう。例えば「なぜ、あれだけ売れたハリアーが10ベストに残らないのか?」、「フィットよりホンダeのほうが注目されていたのでは?」といった意見も耳にしたが、逆を言えばそれらのクルマが10ベストカーに残れないほど魅力的なクルマが多かった――という証拠なのかもしれない。

山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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