ユニクロ最年少役員だった男が悟った「登る山」 人の声に耳を傾け心に火をつける「トーチング」

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かつて史上最年少でファーストリテイリングの上席執行役員に就いた神保拓也さん。人の心に火をつけ、士気を上げる方法を聞きました(筆者撮影)

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの上席執行役員に史上最年少で就いた男性が今春、起業した。神保拓也さん(39)が立ち上げた会社トーチリレーが行う「トーチング」とは、企業相手のコンサルでも一部の特別な人に限られたコーチングでもない。

進路や仕事のキャリア、職場の人間関係、恋愛に悩むあらゆる人の声に耳を傾け、「それぞれの『登る山』を見付け、その人の心に火をつけることを手伝う」というちょっと変わったサービス業だ。なぜか相談は無料。数カ月先まで予約でいっぱいの神保さんの事業は、いったいどういうものなのか。

職場では「私」ではなく「仕事」を主役にする

この夏、東京・青山にあるオフィスで神保さんは相談者である30代の女性会社員、Yさんと向き合った。下記は神保さんがまとめたYさんとのやり取りだ(筆者が一部編集)。

Yさん:「上司から役員会で使う資料の作成を依頼されたので、一生懸命考えて提出したのですが、『遅いよ!もっと早く相談してよ』と叱責されました。過去にも同じ指摘を受けていて、このままでは使えない部下のレッテルを貼られてしまいそうです。

上司の期待を超えたい、きちんとしたものを提出したいと思って取り組むとアウトプットが遅くなってしまう。質とスピード、どちらを優先させればいいのでしょうか」

神保:「『質かスピードか問題』は多くの方が悩んでいる問題だと思います。相手の期待をつねに超えたいというスタンスでお仕事に取り組まれているのは素晴らしいです」

Yさん:「でも職場での私は『空回りしているダメな人』というポジションになりつつあり、この状況を打破したいです」

神保:「『60点理論』の実践をお勧めします。100点ではなく、60点まで仕上がったタイミングで早めに上司に相談するという考え方です。

仕事を頼まれたとき、Yさんのように上司の期待に応えたいというポジティブな理由で提出が遅くなる人もいれば、中途半端なものを提出して怒られたくないというネガティブな理由で遅くなる人もいます。ポジティブな理由で遅くなる人のほうがマシなような気もしますが、どんぐりの背比べ程度の差しかありません。

では何が問題か。どちらも『私』が主役になってしまっているということです。『私は上司の期待を超えたい。だから私はもう少し頑張ってから提出したい』『私は中途半端なものを提出して怒られたくない。だから私はもう少し頑張らないと』。でも、仕事って『私』のためにやるものなのでしょうか。

上司から評価されたいという気持ちは否定しませんが、その感情を優先順位のトップに持ってきてはいけません。考えるべきは『この仕事をゴールに向かって前進させるためにはどうすればよいか』です。仕事を頼まれたときは私を主役にせず、仕事を主役にしましょう」

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