「パワハラが原因でうつ病になった」「職場で受けた仕打ちのせいで人と接するのが怖くなった」「就労が困難になり困窮した」……ブラック企業という言葉が定着して久しい日本社会では、こういった体験を見聞きすることは決して珍しくないだろう。
本連載ではそうしたハラスメントそのものについてだけでなく、まだ十分に語られてきていない「ハラスメントを受けた人のその後の人生」について焦点を当てる。加害者から離れた後の当事者の言葉に耳を傾けることで、被害者ケアのあり方について考えられると思うからだ。
今回インタビューに応じてくださったのは、地方公務員の恵梨香さん(25歳・仮名)。市役所に勤める彼女が見舞われたのは、およそ社会人とは思えない幼稚なパワハラとセクハラ。部署全体にそういったハラスメント体質が根付いている中、彼女が職場を離れるまでの経緯を伺った。
部署全体にセクハラ体質が根付いていた
――本日はよろしくお願いします。答えるのがつらい質問のときは、例えば「スキップ」などと言っていただければすぐ別の話題に移りますのでおっしゃってください。
わかりました。
――まず最初に、ご職業について教えてください。
私は市役所に勤めている地方公務員です。新卒で配属された部署で働く中で体調を崩し、現在は休職中です。
業務量がハードなわけではなく、むしろ他の部署と比較するとかなり仕事が楽なほうなのですが、パワーハラスメントとセクシュアルハラスメントを受けダメージを負いました。
パワハラをしてきたのは1人の先輩ですが、部署全体にセクハラ体質が根付いていて、職場に頼れる人がいなかったのがつらかったです。
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