パワハラと業務中の下ネタ、うつ病になった過程 25歳・公務員女性が「ストレスで失禁」するまで

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あと、婦人科系の症状も出て、医師から「このままだと子供が産めなくなる可能性がある」と言われるところまで状況が進行したんです。休職に入るときに、そのことも上司に伝えたんですが、なんていうんでしょう、「まあそういうこともあるよね」といった調子の応答で……子供のことって、一生を左右する一大事じゃないですか。本当に部下の人生のことなんてなんとも思っていないんだなと絶望しました。

――ハラスメントに対して何か対策はとっていたのでしょうか。

途中からですが、できる限りボイスレコーダーで録音をしていました。先程お話したように、わざと聞こえるように陰口を言う人だったので、その記録がたくさん残っています。職場から禁止されているわけでもない私の持ち物を「新人のくせに生意気だ」とあげつらうなど、「そんなことで?」みたいなことばかり言っていました。

ただ、その音源はあまり活用されませんでした。休職に入る前に人事部にレコーダーを提出したんですが、まともに証拠として扱ってくれなかったんです。

そもそもレコーダーを提出する際にハラスメントに該当すると思われる箇所をピックアップしておくように言われて、その作業が本当につらかったです。これ以上直接的にフラッシュバックを誘発するようなことなんてないと思うんですが、そういうことを本人にやらせることにも何も思うことはないみたいで。作業中は涙が止まらず、胃痙攣も起こしながらでしたが、なんとか準備をして相談に行きました。

人事部が信用ならないから労基署に相談に行ったのに…

その結果が、「人事部の係長から相手方に口頭で注意をして終わり」というものでした。その後私のところにも同じ係長が来て、「反省していた」と伝えられました。それでおしまい。結局これまでしたことについてのペナルティは何もありません。「これでもうこの件は解決したのだから蒸し返すな」と言っているようにしか思えませんでした。

ハラスメント被害者の「その後」の話
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提出した音源についても「音声が聞き取りにくくて事実確認ができない部分があった」と言われたんですが、問題を矮小化しようとしてそんなふうに言っているように思えて。

労働基準監督署にも相談に行ったのですが、公務員の場合は基本的に内部の相談窓口に相談してもらうことになっているから、とのことで、そうなると結局人事部なんです。その人事部が信用ならないから相談に行ったのに……。

そういった経緯で、頼れる人がおらず、ますます孤立感を募らせることになりました。(後編はこちら

ヒラギノ 游ゴ ライター/編集者

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ひらぎの・ゆうご / Yugo Hiragino

ライター/編集者。

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