明石家さんま「人生で一番ウケたネタ」の中身 人を笑わせることに人生をかけた男の高校時代
奈良商の文化祭では教室の1室を借り、2時間の公演を開くことを許された。そこで高文は、いつも教室で見せていた落語、漫談、小噺、ものまね、形態模写を披露する。
映画『仁義なき戦い』の菅原文太のものまねや、アニメ『巨人の星』の登場人物をナレーションしながら1人で何役も形態模写していく「ひとり巨人の星」も、以前より磨きがかかっていた。
なかでも「京子ちゃんシリーズ」と題した小噺ネタは、高文の自信作だった。
「いやぁ~、京子ちゃん、パーマあてたん?……ちがうのよ、昨日、洗濯機の脱水機に頭から突っ込んだの……」
「いやぁ~、京子ちゃん、可愛らしいブレスレットしてぇ~……ちがうの。今、警察に捕まってるの……」
「いやぁ~、京子ちゃん、あんた今日パンツはいてへんやろ?……いやっ、なんでわかるの?……スカートはいてへんもん……」
最初は何が始まったのかと観客たちは当惑したが、高文が「京子ちゃん」にまつわる小ネタを次から次へと披露していくと、次第にクスクスと笑いが起き始め、しまいには手をたたいて笑い出した。何かにとり憑かれたかのような高文の熱演は、満場の拍手に包まれながら幕を閉じた。
「杉本の頭のよさ、記憶力のよさにみんな感心」
さんま「パーマのネタだけが実話なんですよ。『京子ちゃん、パーマあてたの?』『いや、洗濯機の脱水機に頭突っ込んだの』っていう実話を土台にして、いろいろ作っていったんですよ。『京子ちゃんシリーズ』の京は、京都の京なんです」(『明石家さんまのG1グルーパー』1997年7月21日)
和田勝彦(学年主任)「高校3年の文化祭のとき、杉本から落語をやらせてくれという申し出がありました。普通なら体育館のステージでやるんやが、もういっぱい。それで教室を1つ空けて高座を作ってやらせました。(中略)杉本の記憶力のよさ、頭のよさにはみんな感心しよりました」(『週刊平凡』1986年3月7日号)
伏見敦(高校3年の学級担任)「(ホームルームの時間や自習時間に)『新しい話を覚えてきたからやらしてくれへん?』いうんです。10分くらいのときもあれば、20分くらいのこともあった。だけどさっぱり面白くなかったですねえ。それより落語の前のマクラがおもしろかった。それと、ホームルームの司会とかはうまかったですよ」(同上)
大西康雄「うちへ遊びに来ると私と6畳の部屋でベッドを高座がわりによく落語を聴かせてくれました。ベッドの下で私やら友達やら、私の母が常連の客ですわ」(同上)
さんま「高校時分は全盛やったからね。あのときにテレビに出たかったぐらいやから。いっちばん面白かってんから」(『MBSヤングタウン』1995年12月30日)
さんま「俺が友だちにしてあげた1番のこというたら、笑わしてあげたことやね。俺がいてホントよかったと思うよ。みんなはどう思ってるかわからんけど(笑)。だって明日何をして笑かすかが、俺の宿題だったもん」(『JUNON』1992年5月号)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら