「すべての価値ある記事は有料であるべき」

WSJ編集局長が語るデジタル時代の戦い方(上)

――デジタル版ではいろいろな試行錯誤をしているとのことですが、最近では編集長がその日の紙面からおすすめのニュースを選んで解説する「10ポイント」というメールサービスを始めました。

新聞記事をネット配信するうえで最も大きなハードルだと感じているのは、最初から私たちのホームページを訪ねてニュースを読む人が少ないということだ。多くはソーシャルメディアからのリンクや、グーグルの検索結果から記事に飛んでくる。中でも最近増えているのが、メールからのアクセスだ。

読者の関心を引くには、あらゆるチャネルを利用する必要がある。私たちはすでにツイッターやフェイスブックなどソーシャルメディアを熱心に利用しているが、最近増えているメールからのアクセスに対応するために「10ポイント」を始めた。すでに何十万人もの人が、このサービスに登録している。受け取っている人のメールの開封率や、ニュースの概要をクリックする率も高い。

――編集局長が自らポイントをまとめてメールする意義は何でしょうか。

当然のことながら、編集局長である以上、私がWSJに載っているコンテンツのすべてに責任がある。同時に、多くの読者はその責任者である私が「今日のコンテンツの中でも、とりわけこれが重要」と勧めることに意義があると感じてくれていると思う。私がメールすることによって、数ある今日のニュースの中でも、特に注目すべきニュースを読者も理解しやすくなる。

ツイッターも重要なツール

――ベーカーさんは6カ月前からツイッターも始めましたよね。

すでに9300人のフォロワーを得ており、今でも週100~200人のペースで増えている。記事へのリンクなど1日1回はツイートするよう心掛けている。記事へのリンクも、写真や図表などを載せるなど工夫している。先ほどのメールと同様にツイッターと読者とかかわるうえで重要なツールだ。

一方、WSJのすべての記者や編集者もツイッターを積極的に利用するよう求められており、中には私よりずっとフォロワーの多い記者もいる。

ただし、記者がツイートをしていいのは、ダウ・ジョーンズ経済通信に記事を書いてからだ。ダウ・ジョーンズの購読者は高い料金を払ってコンテンツを買っているので、第一報はダウ・ジョーンズで流すのが鉄則。いったん流れれば、記事のリンクをツイートするのは自由だ。記者や編集者はこのほかに、フェイスブックやリンクトインなども積極的に活用するよう求められている。

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