「すべての価値ある記事は有料であるべき」 WSJ編集局長が語るデジタル時代の戦い方(上)
紙とデジタルの読者はまるで違う
――米国では2000年代に他社に先駆けて、WSJのデジタル版の有料定期購読サービスを始めました。そこから15年くらいの間にWSJのデジタル事業はどのように変革してきましたか。
WSJが有料で記事のネット配信を始めたころ、私はまだ勤めていなかったが、WSJのコンテンツは非常に価値が高く、記事を制作するにも費用がかかっているのだから、紙と同様にデジタル版も有料にすべきだ、というのが当時の経営陣の考えだった。無料で提供するのは理にかなわないと。幸いなことに、これまでのところ、このモデルはうまくいっている。
この15年の間にビジネスは大きく変革してきた。まず、デジタル版の購読者は今や約90万人と大幅に増えた。デスクトップだけでなく、タブレット端末やスマートフォンなどコンテンツを読むプラットフォームも増えている。
デジタル事業を続ける中で、紙の新聞とデジタル版の基本的な違いについても知見が増えてきた。デジタル版を始めたころは、紙の新聞を体裁もほぼそのままで、オンラインに掲載していた。が、特にここ5年の間に、デジタル版と紙の読者では、ニュースへの接し方がまるで違うことがわかってきた。
デジタル版の読者の場合、ソーシャルメディアやビデオ、インタラクティブな図表や写真、直接的なコミュニケーションを活用するなど、ニュースの読み方、かかわり方が非常に多様だ。これは私たちにとって、大きなチャンレジであり、チャンスでもある。ジャーナリズムの質を維持しながら、それをデジタル読者にどのように伝えていくか。私たちはいろいろなトライアルを続けており、その挑戦が終わることはないだろう。
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