マツダ「MX-30」公道で乗り倒してわかった実力 前のめりすぎず、わかりやすさが詰まっている

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第6世代商品群はいずれも、「意のままに走る」「上質で気持ちのいい走り」といったキーワードとともに市場へと放たれた。クルマ好き、マツダファンからは素直に受け入れられたものの、これまでマツダと距離が遠かった自動車ユーザーからは難しい学問のように捉えられていた時期もあった。

対してマツダの開発陣、とりわけ技術者たちは自分たちがなにを目指し、そのためにどんな技術を作り出して投入し、そして実装したのかをちゃんとお客様に伝えることが重要であると考えていた。だからこそ、丁寧な表現を前のめりに続けてきたのだ。

筆者は、そうしたマツダの姿勢こそ新たなマツダファンに向けられた声であり、また正論であると考えるが、一方、これを逆の立場であるお客様側の目線で考えると、「前のめりすぎでわかりづらい」といった印象を持たれかねない。「スゴイですよ、見てください、乗ってください!」とディーラーでセールススタッフから攻めたてられるのもやっかいだが、これからの愛車選びに新たな学びが必要となれば、なんとなく気後れというか、躊躇してしまうのも頷ける。

第7世代商品群からわかりやすい言葉で説明

マツダは2019年5月に発売を開始した「MAZDA3」から第7世代商品群を名乗り始める。そこでは、これまで解釈が難しいとされてきた理想的な走行性能やクルマの価値をわかりやすい言葉で説明しはじめた。

MX-30の外観上の特徴は観音開き構造の「フリースタイルドア」だ。RX-8(2003年登場)に続く新しい価値の表現という見方もあるし、そもそもRX-8での実績があるから作りやすかったのだろうという意見も聞かれた。

観音開き構造の「フリースタイルドア」(筆者撮影)

しかし、開発陣によると2003年当時の衝突安全基準と現在では比べものにならいほどに厳しく、MX-30の設計はゼロベースで進められたという。センターピラーがないボディ構造であることから、「側方衝突に対する衝撃吸収能力の解析には時間がかかりました」と、MX-30の開発主査である竹内都美子氏は語る。

フリースタイルドアは、車いすとの乗降性能も考慮した。筆者は過去、両親、祖母との介護生活を送ってきたが、当時の愛車がセダンであったことから車いすと助手席を行き来させる補助には苦労した。回転式助手席シートに改造する案もあり実際にディーラーで見積もってみたが、部品購入から申請手続き含め総額100万円(当時)近くかかることがわかり断念した。

車いすとの乗降性能も考慮したフリースタイルドア(筆者撮影)

フリースタイルドアを効果的に使うには駐車場所にゆとりがないと大きな開口面積の恩恵を受けづらい。しかし、介護者側の目線だけでなく、シート間を行き来する側であった両親や祖母からは「乗り降りしやすいね」と、きっと喜ばれたのではないかと想像する。

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