マツダが「ラージ商品群」と呼ぶ上級シリーズの第1弾である「MAZDA CX-60」の日本仕様を発表したのは、4月7日のことだった。
多くの人の興味は、直列6気筒エンジンと縦置きプラットフォームを活かした走りがどうなのか、だろう。現にマツダ自身、「ドライビングエンターテインメントSUV」をコンセプトとしている。
ただし、広報資料ではCX-60 が持つ魅力について「1: 運転する愉しさ」「2: 安心安全」「3: デザイン」と、3つの項目の中にデザインが含まれており、項目ごとの記述には「魂動(こどう)デザインの深化とステップアップを体現」とある。
つまり、CX-60もまた2012年発売の初代「CX-5」から続く魂動デザインの延長線上にあるというわけだ。
とはいえ、CX-60の形からは、これまでの魂動デザインとはやや異なる方向性も感じる。それはデザインコンセプトの「Noble Toughness(ノーブル タフネス)」という言葉にも表れている。ノーブルとは「気高い」「威厳がある」という意味だ。タフネスは説明不要だろう。
ようやく魂動デザインの源流に
資料では、「堂々とした骨格やインテリアのタフさの中に、魂動デザインの知性やエレガンスを織り込んだ」と説明している。後半が従来からよく見られた説明なのに対し、「堂々」や「タフ」は、最近のマツダではあまり使われてこなかった言葉だ。
それを象徴するのがフロントマスクで、全体的にどっしりしている。広報資料でも、直列6気筒エンジンを縦置きするSUVらしい、“風格のある分厚いフェイス”と解説している。
サイドからの眺めでは、長いノーズと後ろ寄りのキャビンが特徴だ。直列6気筒エンジンを縦置きし、後輪を駆動するFRレイアウトならではのパッケージングである。ダイナミックな動きとともに、SUVらしい力強い骨格を感じさせるプロポーションだ。
そもそも魂動デザインは、「クルマに生命を宿す」という考えから生まれ、生き物が疾走するような造形を目標としていた。前足を伸ばして方向を定め、後ろ足で大地を蹴って進む動物の走りに近いのは後輪駆動であり、「ロードスター」以外でようやく、魂動デザインの源流に見合った骨格を手に入れたことになる。
ボディパネルでは、「艶」を感じるシンプルかつエレガントな造形を心がけたとのこと。
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