「CX-60」やっと実現できた魂動デザインの源流 生き物のような造形を叶えた「FR骨格」の優美

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メーターは視認性や瞬読性を高めるため12.3インチのフル液晶とし、ヘッドアップは表示面積をマツダ3の3倍に拡大。センターディスプレイも12.3インチと大型化した。

エクステリアと比べると、エモーショナルな演出は見られず理路整然としているが、このあたりはフェーズ2のトップバッターだったマツダ3がそうであるように、機能を重視しているためだと思われる。

「プレミアムモダン」のインテリア。質感の高さを感じさせる(写真:Mazda Motor Europe)

センターコンソールの操作系もそうで、腕を自然にアームレストに置いた状態で、直感的に素早く正確に操作できることを心がけたと説明される。ドアトリムについても、ドアオープナーを引いたあと、グリップへと手を移す動きをワンモーションでできるように工夫しているという。

前方視界にもこだわっている。エンジンフード形状を工夫することにより、ノーズ先端を把握しやすくしており、ノーズはCX-5より長いにもかかわらず、斜め前方の不可視長(死角になる部分の距離)は303mm、前方の不可視長は100mm、それぞれ短くしたという。

さらに、車内から見たAピラーの付け根を曲線にすることで、風景の流れを柔らかく感じさせ、前方を自然に見続けられるようにするという配慮も込めている。

もちろん、インテリアでもプレミアムモダンとプレミアムスポーツ、2つのスタイルの提案がある。

ブラック基調となる「プレミアムスポーツ」のインテリア(写真:Mazda Motor Europe)

プレミアムモダンはウッドパネルを含めてホワイト基調で、ファブリックにはランダムな柄やさまざまな表情を持つ糸を織り込むことで、光の変化に対して柔らかく反応させるというもの。マツダが考えるジャパンプレミアムを表現したという空間を、早く実車で確認してみたい。

一方のプレミアムスポーツはブラック基調で、キルティングを施したスウェード素材とナッパレザーで高級感を演出。内装色はブラックとタンが用意され、ブラックは「シンプルに走りに集中できる空間」、タンは「優雅でありながら心昂らせる空間」を目指したとのことだ。

実車を目にする人を心待ちに

ここまで、広報資料と写真をもとにCX-60のデザインについて解説してきたが、実車を目にすると印象がガラッと変わるクルマも多い。魂動デザインとなってからのマツダ車は、その代表格だと思っている。

直列6気筒エンジンや縦置きパワートレインにふさわしいエクステリアの重厚感やインテリアの高級感を判断するのは、実車を見てからのほうがいいかもしれない。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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