マツダ「MX-30」公道で乗り倒してわかった実力 前のめりすぎず、わかりやすさが詰まっている

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車内各所にもわかりやすいマツダらしさ、MX-30らしさが光る。東洋コルク工業株式会社(1920年設立)として誕生したマツダの原点(2020年は100周年)であるコルクを、2段重ねのセンターコンソール下段にあしらった。傷つきやすくほころびやすいコルクの表面に特殊なコーティングを施して対処。その際、コルクが本来もつ風合いを失わないよう配慮したという。

特殊なコーティングを施されたコルク(筆者撮影)

センターコンソール上部にはシフト操作部が設けられた。2段重ね上部なので操作する手を伸ばしやすい。そのシフトノブには新しいHMIが採り入れられた。

「正しいシフト操作を促す見地からシフトパターンを新規で考案しました。シフト位置を自分に寄せる側(停止側)と、自分から遠い側(走行側)に分け、その走行側では上から後退R/ニュートラルN/前進Dとして直感的に扱えるようにしました」(マツダ 統合制御システム開発本部 中島康宏氏)。ちなみに、左ハンドル車では停止側と走行側が右ハンドル車と逆に配置されている。

シフトパターンを新規で考案。直感的に扱えるようになった(筆者撮影)

先進安全技術もわかりやすい進化を遂げた

先進安全技術であるi-ACTIVSENSEもわかりやすい進化を遂げた。実際の交通環境における事故形態として上位にくる交差点での右直事故に対応したり、自車側方車両との接触を抑制したりする制御を採用。また、芝生や縁石など道路境界線の認識能力を高めて路外逸脱を抑制。また、運転支援技術である車線中央維持機能は、既存ユーザーからの声に応え、これまでの作動上限55㎞/hをなくし高速域まで作動するよう改められた。

第6世代商品群では理想を説くべく理論の紹介が先に出た。対する第7商品群ではわかりやすさを押し出す。先頃、MAZDA3が搭載するSKYACTIV-Xでは商品改良により「SPIRIT1.1」へとバージョンアップした。詳細は後日、本連載でレポートするが乗ってスグに違いが体感できる、そんなわかりやすい性能向上が図られている。

MX-30では、2021年に「BEVモデル」、2022年にはそのBEVをベースに新開発のロータリーエンジンを搭載した「レンジ・エクステンダーモデル」の登場がすでに発表されている。お客様目線でのわかりやすさは、この先に増えていく電動化モデルへの正しい理解にとっても大切。マツダには、数値だけにこだわらないこうした柔軟な発信を継続してもらいたいと思う。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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