マツダ「MX-30」公道で乗り倒してわかった実力 前のめりすぎず、わかりやすさが詰まっている

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アクセルペダルの踏み込み量が減った分、実用的な燃費数値も向上した。M Hybridのない2.0Lエンジンを搭載する「CX-30」20S L Package(車両重量はMX-30より60kg軽い)との比較では、渋滞路を含めた一般道路のみでの計測ながらFFモデルで5%ほどMX-30がよかった。

公道試乗を通じて体感したMX-30の走行性能を一言で表現するなら「凛(りん)」。引き締まった、頼もしいといったイメージが伴う言葉だが、今っぽく別の言い方をすれば「シュッとした」「キリッとした」との表現が近いか。

一定の間合いを伴ってスッと反応が始まる

一般的に走行性能の解説で好印象が抱かれた場合には、「ドライバーの運転操作に遅れなく、ステアリング操作に対してスパッと鼻先が動いて……」、などといった表現が多く用いられる。対してMX-30にはそれがない。間髪を入れずにシャープな動きが得られるのではなく、一定の間合いを伴って、その後スッと意に沿った反応が始まるのだ。

例えば、水の入ったコップを手に取り口へと運ぶ、これを想像してほしい。コップが軽くて柔らかい紙なのか、重くて硬い厚底ガラスなのかなど、まずは見た目からコップの自重と水の重さを予想し、そこにコップの形状を顧慮して水がこぼれないよう注意しながら手に取る。そしてコップを手にした瞬間には、動かしにくさを実感する。動かしにくさの実感とは、水がこぼれないように手や腕の動きを丁寧に調整することと同じ意味だ。

動かしにくさは物理的な作用なので、重さや抵抗のある物体すべてにかかる。MX-30はドライバーに対して、車両重量1.5tのクルマがもつ“動かしにくさ”をボディ、サスペンション、シートを通じてストレートに伝える。だから、それを意識しながら行う“手足の調整”が行いやすい。

具体的にMX-30の運転操作で言えば、アクセルペダルをゆっくり踏み込んだ際の初期反応から次の動きが予想できる。そのまま必要な加速力を得るためペダルを踏み込んでいくと、今度は想像どおりに増速。動かしにくさを考慮した手足の振る舞いにクルマの動きがシンクロする、そんなイメージだ。

マツダはボディ、サスペンション、シートを三位一体としたうえで理想的な走行性能を掲げ、その実現に向けたSKYACTIV技術を開発。2012年2月に発売したSUVモデル初代「CX-5」から実装する。このCX-5以降、SKYACTIV技術を投入した新モデルは「第6世代商品群」と名付けられた。

ボディ、サスペンション、シートを三位一体としたうえで理想的な走行性能を掲げた(筆者撮影)

セダン&ステーションワゴンの「アテンザ(マツダ6)」、その後のSUVシリーズ(「CX-3」や「CX-8」など)やコンパクトカーである「デミオ(マツダ2)」、スポーツモデルの「ロードスター&ロードスターRF」にも、その理想は受け継がれる。

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