あなたの「近所の薬局」が今消えそうな深刻事情 大手も個人経営も厳しい状況に立たされている

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患者宅と繋いでの会話は、薬局の現場よりも患者の実態を確認しやすい側面もあり、自宅での薬管理が難しい方にはよりよいサポートともなりうるのではないでしょうか。

普及においては、主な患者層である高齢者でもオンラインサービスに対応できるかという懸念もあります。現実に、スマホもパソコンもほぼ触ったことがない高齢者にオンラインで説明をすることが難しいケースもありますが、家族や薬局のサポートのもとに回数を重ねて慣れることもできます。

もちろん、薬剤そのものの使い方の説明が必要なケースや、薬剤の大幅な変更があり、現物説明が望ましいケースなどもあります。対面と上手に組み合わせていくのが現実的な落としどころとなっています。

最大手のアインでもシェア2~3%

大手が、対応を進めていく中、個人の薬局は生き残っていけるのでしょうか。シェアでいえば、調剤薬局最大手のアインファーマシーズでも2~3%で、一定のクリティカルマスをもつ調剤薬局がありません。

各社IR資料からも、大手チェーンによるМ&Aによる業界再編が加速していることが読み取れます。およそ5万9000店舗ある薬局は約2万5000企業・法人から構成されており、全体シェアからすればまだまだ個人経営薬局が大多数です。

大手チェーンや医薬品卸による薬局の買収は続くことが予想されており、地域医療構想における公立病院の再編もそのドライバーとなる可能性があります。

調剤報酬の減算傾向は続いており、かかりつけ機能であったり専門性を高めた機能をもつ薬局に対して傾斜的に報酬が配分されていっていますので、成長戦略を実行せずに現状維持を続けることが衰退と同義となりつつあります。

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