あなたの「近所の薬局」が今消えそうな深刻事情 大手も個人経営も厳しい状況に立たされている
飲食店のように多様性があって個人店舗が生き残る世界もありますが、最終的にお渡しする薬剤が原則店舗間で変わらない調剤薬局はその多様性が傍目にはわかりづらい側面があります。
実際には、ドラッグストアやスーパー併設でOTCの販売を強化している薬局、高い専門性で医療に特化した薬局、在宅訪問に特化した薬局、地域に根強いファンをもち病院前ではなくとも地元の人が通ってくれる薬局、配送に特化した薬局などさまざまですが、その利便性や特殊性ゆえにしっかりと成長している店舗は存在します。
とくに在宅領域は高齢化社会の到来で、今後も拡大が見込まれており、薬の収集などの業務の自動化や調剤補助への委譲が進み、そちらへ人員が再配分されるという動きも起こっています。
減収対策ができていない薬局も
コロナ禍への対策もまた多様で、減収対策ができていない薬局もあれば、残業削減や派遣薬剤師の雇用見直しなどのコストカットや、新規患者さんやリピーターの獲得、服薬アドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)の向上、在宅患者のフォロー、保険外収益の拡大など各種施策にとりくみ成果をあげている企業や法人は多くあります。
立地に依存した受けの仕事にとどまらず、Webの動画や文章で薬や健康の情報を発信する、通院できない間の不安に対して電話相談を受ける、定期的に来局してくれている患者にメールや電話で様子を伺う、SNSや紙媒体で新型コロナウイルスの正しい情報を広める、来局の実績や予測をデータ分析して必要な方へ個別に連絡サポートを行うなど、一般的な顧客関係管理の考え方がより求められているようにも感じます。
医療提供態勢への不安が広がる中、広い意味でより安全な医薬品利用へのアクセスを担い、消費者に求められる薬局が生き残っていくのではないでしょうか。
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