「ポエム化しているのはメディアでしょ?」

最後に撃沈・・・ポエム化現象を全否定された!

日本中がポエムであふれている。
「夢」「勇気」「仲間」「絆」「寄り添う」「イノベーション」──。
何かを語っているようで何も語っていない抽象的な言葉が、政治やビジネス、ネット、J-POP界隈に蔓延している。
世の中はいつからポエム化し、人々はポエムに何を求めているのか?
ポエム化現象のナゾを5日連続で解明していく。
5日目は、編集者の都築響一さんに、詩とポエムの違いを伺う。
※1日目小田嶋隆さんはこちら
※2日目常見陽平さんはこちら
※3日中川淳一郎さんはこちら
※4日目マキタスポーツさんはこちら
都築響一さん 編集者、写真家
1956年東京生まれ。『ポパイ』『ブルータス』誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』(京都書院)を刊行。以来 現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。93年、『TOKYO STYLE』刊行(京都書院、のち、ちくま文庫)。96年刊行の『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(アスペクト、のち、ちくま文庫)で第23回木村伊兵衛賞を受賞。そのほか、『夜露死苦現代詩』(ちくま文庫)、『ヒップホップの詩人たち』(新潮社)など著書多数。
 

プロが批評の対象にしない“現代詩”のすごみ

編集者の都築響一さんは、言葉のプロや評論家たちが批評の対象にすらしない“ストリートの現代詩”を集めて、著書『夜露死苦現代詩』に収録している。

それらは、これまで紹介してきた、ちまたの「ポエム」とは何かが違う。

たとえば、暴走族の特攻服に刺繍で書かれた詩──。

天から貰ったこの命
咲いて散るのが我人生
たとえこの華散ろうとも
一生一度の青春を
地獄で咲かせて天で散る
(略)

 

うまい。そして必死さが伝わってくる。「刺繍するのに、大きな文字だと数千円かかる。国語の成績なんてあまりよくないであろう暴走族たちが、一生懸命に詩作している。そりゃあ必死ですよ」。 

死刑囚が詠んだ俳句──。

布団たたみ 雑巾しぼり 別れとす
叫びたし 寒満月の 割れるほど

 

死を前にした心のありようが胸に迫ってくる。 

湯呑み茶碗に書かれた詠み人知らずの説教詩──。

一、高いつもりで低いのが教養
二、低いつもりで高いのが気位
三、深いつもりで浅いのが知識

 

思わず膝を打つ。……あれ、「ポエム」を説教されている気もする。

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