自己陶酔な方へ、「ポエムの対義語は自虐です」

ネットにポエムを書きまくる4つのグループとは?

日本中がポエムであふれている。
「夢」「勇気」「仲間」「絆」「寄り添う」「イノベーション」──。
何かを語っているようで何も語っていない抽象的な言葉が、政治やビジネス、ネット、J-POP界隈に蔓延している。
世の中はいつからポエム化し、人々はポエムに何を求めているのか?
ポエム化現象のナゾを5日連続で解明していく。

3日目は、ネットニュース編集者の中川淳一郎さんに、ネット空間のポエム化を伺う。
※1日目小田嶋隆さんはこちら
※2日目常見陽平さんはこちら
中川淳一郎さん ネットニュース編集者、PRプランナー
1973年、東京都生まれ。一橋大学商学部卒業後、博報堂で企業のPR業務を担当。2001年に退社し、雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て、現在に至る。著書に『ネットのバカ』(新潮新書)、『ウェブで儲ける人と損する人の法則』(ベストセラーズ)、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ウェブを炎上させるイタい人たち』(宝島社)などがある。

グルメ系のレビューがすごい

誰でも自分の文章をすぐネット上に発表できる時代になった。それがポエムが氾濫する要因のひとつだろう。ネット空間はポエムのカオスに見えて、実はある特定の層のポエム化が激しい。

ネットを1日中、見続けるのが仕事のネットニュース編集者、中川淳一郎さんによれば、ポエムっぽい文章を書く人は、大きく4つに分かれるという。「グルメ系」「ネトウヨ系」「スタートアップ系」「ヤンキー系」だ。

まず「グルメ系」は、自分が食べたものや食べに行った店について書き連ねる人々。グルメサイト「食べログ」のレビューが圧巻だ。「narumiさんという方が『食べログ文学』をまとめているので、ぜひ観賞してほしい」。

narumiさんの「これが『食べログ文学』--“レビュー”という名の極上ポエムと私小説を堪能せよ」には、食べログのレビューから珠玉のポエムが6つ、ノミネートされている。たとえば、エントリーナンバー1(以下に引用)。

あふれる声にならない声
あふれる涙
あふれる汗
あふれる滴
それを乗り越えたところに
まだみえない
あふれる歓びがあると信じて

 

ラーメン店のレビューとは思えない。ノミネートの条件は、「味への言及が極端に少ない」「もしくは言及なし」「店に入るまでがやたら長い」「店に入らずに終わることもある」の4つだそうで、納得。もはや食欲より書くことへの欲求が勝っているのだろう。

次ページ舌が肥え、文体に凝るオヤジ
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